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産業医の話

最近特に感じる産業医のことです。
ここんとこ、あちこちから産業医に関しての問い合わせを受けています。
しかし、それと同時に事業主さんの考え方の格差にも正直驚いています。
常時50人以上の労働者が従事する事業所では産業医の選任と届出が必要です。
(ちなみに、この50人には派遣社員や短期パート、アルバイトも含みます)
ところが、産業医というのはコストがかかります。
大体月一回2時間の訪問で、6万円ほどかかります。言ってみれば時給3万円です。
毎月最低で6万円ですから年間では80万円以上かかることになります。
50人以上の事業所が4つあれば300万円以上年間でかかるわけです。
しかも、産業医を選任したら生産性が上がるとか、そういった目に見える効果はなかなか上がりません。
(社員の健康管理は会社の経営にすごく重要な要素なのですが・・)
そうなると、やはり産業医に毎月6万円かけ、しかもなかなか先生は見つかりませんし、見つかっても、先生とのコミュニケーションや安全衛生体制の確立というさらに困難が待っています。
それなら、何もしなくていいから名前だけ貸してもらって安くすまそう、と考えるのは当然です。
名義貸しなら月2万円から3万円ですみます。それでとりあえずは労基に選任届を出すことができます。
しかし、考えてみてください。
名義貸しでは産業医は訪問しません。訪問しないということは産業医としての仕事を何もしない、ということです。
職場巡視も、衛生委員会への参加も、議事録のチェックも、健康診断の就労判定も、健康診断事後指導も、長時間労働面談も、健康相談も・・・何もしない、ということです。
すなわち、
事業主としての安全配慮義務を全うしていない
ということです。
何もなければそれでいいかもしれませんが、労基の立ち入り検査の時に指摘されると間違いなくレッドカードが出ます。
また、事あれば、その責任は100%事業主にかかってきます。そうなると、何千万、いや億単位の金が必要になる可能性もあります。
何よりも従業員の不信感もあると思います。
最近は何かというと産業医という言葉があちこちでささやかれるようになりました。そのため従業員に自分の会社にはちゃんと産業医がいるということを説明する必要も生まれてきています。
労使協議会などで、それを話題にする労組も増えてきています。
名義貸しの産業医に関しては厚生労働省も好ましくないと、指摘しており、是正対象にもしています。
それに何より、
自分の会社がきちんと安全配慮義務を守っているということを胸張って従業員に説明できるということは、すごく大切なことです。
名義貸しで一時しのぎしようというのは、非常に危険な考え方であることを事業主の皆さんには認識してほしいものです。

今日は産業医の話

これは、とある大手企業の人事の人から聞いた話。
伝聞なので若干脚色は入っているかもしれませんが、おおむね内容は正しいかと。

産業医:Aさんの休職に関して面談した結果をお伝えします。残念ながら私の判断ではAさんの診断書の「うつ病」というのには疑問があります。それを確かめるためにAさんの同意を得て主治医に情報提供を求めたいと思います。
担当者:大丈夫でしょうか?主治医も自分の判断を疑われてると思い、話がこじれませんか?
産業医:こじれるかもしれませんが、疑義がある以上確認すべきでしょう。Aさんには面談時に同意はもらっています。
担当者:わかりました。専門領域のことは先生にお任せするしかありませんから。くれぐれもよろしくお願いしますね。
産業医:私も喧嘩するために問い合わせするのではないですから、うまくやりますよ。


数日後

担当者:先生、Aさんから主治医がすごく怒っているが、どうしてくれるんだ!、と言ってきました。むちゃくちゃ怒り狂ってるみたいです。
産業医:そうみたいですね。私のところにもとても読むに堪えない文言で抗議文が送られて来ました。さすがにお見せできませんが、よくこれだけ書けるなと感心するくらいです。
担当者:どうするんですか、このままだと、Aさんの治療にも差しさわりがでるんじゃないですか?
産業医:それはわかりませんが、仕方ないので、もう一度情報提供依頼書を送りなおすことにします。
担当者:それって火に油を注ぐようなものでしょう!まずいですよそれは。相手は本当に怒ってるんですよ!
産業医:大丈夫です。今度は忘れませんから。
担当者:忘れないって、何をですか?
産業医:返信用封筒ですよ。
担当者:?
産業医:切手貼った返信用封筒を同封していなかったことが礼儀に反する、と怒ってらっしゃるのですから。今度はちゃんと忘れないようにしますよ。
担当者:怒ってるって、それを怒ってるんですか?
産業医:そうですよ。
担当者:??
産業医:いろんな先生いますから。


後日、無事に(?)詳細な情報提供があったそうです。
嘘のような本当の話です。

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専属産業医と嘱託産業医

実は産業医というお仕事には仕事をする事業所の規模によって大きく2種類の役割があります。
それが専属産業医と嘱託産業医の区分です。
基本的に常時勤務の労働者数が50名以上の場合産業医の選任義務が生じますが、これが1000人以上だと、専属の産業医を選任する必要があります。
専属産業医になると、事業所に「常駐」が前提となります。たとえば月曜から金曜まで(場合によっては週4日もあります)事業所に1日勤務し、労働者の健康管理・労働環境の改善と計画・健康相談などなどの業務を行います。もちろん産業医として職場巡視や衛生委員会への出席、健康診断結果の就労判定などの業務も行います。
とにかく、労働者の身近で常に健康に気を付けておくという役割を負っています。
一方、嘱託産業医は50名から999名までの事業所にて選任され、週に1度、または月に1度事業所を訪問し、産業医としての業務を行います。訪問日以外は病院で勤務したり、自分の診療所で働いたり、別の企業を訪問したり、と、いわばアルバイト的な形態となります。
どっちがいいかというと、そりゃ専属の方がいいかと思いますが、コストが高い!
「お医者様」ですから時給900円とか、月額15万円とかいったわけにはいきません。これの10倍以上はかかるでしょう。
産業医の立場でも専属の方が安定しているのでありがたいかもしれません。
でも、1000人以上の事業所なんて全国的に見て数は知れています。
少なくとも今後増えるとは思いません。
したがって、こういった専属の求職はなかなか難しいようです。
一方、嘱託の場合は労働基準監督署の指導も厳しくなってきますし、職場は減りはしないと思います。
自分の空いてる時間を遊ばしておかないでお金も稼げるので医者としてはありがたい制度ではないでしょうか?

専属産業医と嘱託産業医では最近その「兼務」が問題になってきています。
専属産業医でありながら別の事業所の嘱託産業医も兼務するということです。
原則としてこれはできません。
「専属」なのですから「専属」せい、というわけです。
でも、「嘱託」も兼務できる場合もあります。
たとえば同じ会社の別の事業所の産業医を兼務するとか、子会社の産業医を兼務するとか・・・
要は産業保健体制の関連性が見られる、ということが大前提になります。
厚労省の通達で、兼務の条件の一つに「専属事業所から概ね1時間以内で通える場所」というのが出てまして、どうもこれが独り歩きしているような感じです。
「時間」は兼務の基準の1つでしかないことに注意すべきです。
なお、嘱託産業医はいくつ兼務しても構いません。
ただ、あまりに兼務しすぎて「名義貸し」になってしまわないように注意が必要です。
「名義貸し」状態を続けていると、とんでもない労働紛争に巻き込まれてしまうかもしれません。
自分の「名前」の責任はきちんととる必要があります。

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再び産業医の話

今日はまた産業医の話に戻します
産業医をやってる先生って大体大きく2種類に分かれると思います。
1.医者をやりながら、自分の空いている時間を産業医として勤めている先生
2.産業保健を専門として産業医を専門職としている先生
数としては圧倒的に1の先生が多いかと思いますし、2の先生は産業医科大学出身(この大学は卒業と同時に産業医の資格も取れます)の先生が多いような気がします。
(あくまでも私の独断ですが)
1の先生は自分で開業していたり、病院に勤務していたりして、1週間のうち空いている日を産業医勤務にあてている、という先生が大部分です。
お医者さんっていうのはフルタイムで特定の病院に勤務する以外に、パートタイム見たいにいくつかの病院を掛け持ちする勤務体系があります。
すると、勤務のスケジュールによっては1週間のうち、空きがある日が出てくることもあります。
これをあそばしておくのももったいないので、その時間を産業医業務にあてるわけです。
一方開業している先生の場合はどうかというと、
今の世の中、開業するって想像以上に大変なんですね。
診療設備などの初期投資が結構大きいし、医者も客商売ですから、お客が来なければお金は入ってきませんし、看護師や職員をやとったら人件費もかさみます。どうも、想像を超えて大変なことのようです。
特に開業してすぐのころは当然お客さん(?)もいませんから、お金は出ていくばかり。
そんなお医者様にとっては産業医の固定収入はけっこうありがたいのだそうです。
いそがしくなったらやめればいいので(無責任な話ですけど)、とりあえず「繋ぎ」としてはちょうどいい業務です。
産業医の勤務としては1社あたり、月2時間勤務。事業所を訪問して衛生委員会に参加したり、健康診断の就労判定を行ったり、職場巡視を行ったり、過重労働面談を行ったりします(本当にこれらすべてが2時間で終わるのかというと疑問ありますが・・)。
まぁ、こういった会社を2,3社持ってれば、とりあえずは息が付けます。
でも、産業医の仕事はけっしてアルバイト感覚でできるような仕事はありませんし、やってはいけません。
悪く言えば産業医の仕事って、手を抜こうと思えばいくらでも手を抜けるんですね。
それに、訪問先にしても、なんだかんだと小うるさいこと言う先生より、余計なこと言わず黙ってハンコ押してくれる先生の方が気楽でありがたいのも事実です。
しかし、ここ数年、そんな風潮が改まってきました。
行政も産業医の業務には厳しくなってきましたし、何よりも企業の労働者に対する安全配慮義務がここまで言われるようになると、産業医の責任も厳しく追及されるようになります。
企業サイイドも「金払った分はきっちり働け!」という態度を強めてきています。
そんな時代になってきて増えてきているのが2の専門職としての産業医です。
自分で個人オフィスを立ち上げたりしている先生も多いです。
でも、こういった専門産業医もなかなか大変です。
企業意識は高まってきたとは言え、まだまだ表に出てくる需要は多くはないですし(潜在的にはすごくあると思いますが)、企業自体の従業員の「健康管理」に対する意識はそれほど高いとは言えません。
したがって、自分でオフィスを立ち上げるというのも優良な顧客をいくつかつかんでいないと難しいかと思います。
でも、大口の(割のいい)顧客ってのはほとんど埋まってしまっていますし、なかなかみなさんやめないので空きができないんですね。

お医者様の「経営」ってのも難しいもののようです。

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中小企業経営者の本音?

先日大学時代の友人と梅田で会いました。
ゆっくりとあったのはもう20年ぶりくらいかなぁ。
とにかく、お互いにおっさんになったなぁとよくある自虐的な挨拶。
梅田近くの串カツやに入って串カツかじりながら2時間近く話し込んでいました。
その中ででた会話。
私:「お前のとこ、従業員何人おるんや?」
友人:「だいたい100人ちょっとかな、急に思たより大所帯になってしもて動き取れん」
私:「100人て、本社は何人おるんや?」
友人:「東京の出張所が10人くらいやから90人以上東大阪の本社におるな」
私:「だったら産業医とかもちゃんと選任してるんやろな?」
友人:「そんなもん知るかいな」
私:「知るも知らんも、法律でしっかり決められてるがな」
友人:「そんなもん知るかいな。法律できめてあるからいうて何でもかんでもいうこと聞いいとったら金なんぼあっても足らん」
私:「そやけど、例の印刷会社の胆管癌多発のせいで労基がかなり本腰で指導に入るみたいやぞ」
友人:「そんなら実際に労基から指導受けてから考えるわいな」
私:「でもな・・・」
友人:「俺らは今を精一杯がんばってんねん。これから起こるかどうかわからんことに金と時間を使うわけにはいかんのや」
私:「でも、下手すると何千万円も賠償しないといけなくなるぞ」
友人:「その時はいさぎよう首くくるわいな」
私:「・・・・」

確かに産業医のコストは大体1事業所で月額8万円くらいかかってしまう。年間にすれば約100万になります。
しかも、それでリスクがなくなるというわけではないです、社員の健康状態を把握し、就労環境を整える、という事業主の安全配慮義務の1部を満たすだけです。
彼の言うように起こるかどうかわからない危機に金を払うというのは中小企業としてはやはり苦しいのでしょう。
でも、それでも経営者である以上、法を順守し、コンプライアンスを守るという義務があると同時に、従業員の健康にも配力する義務ががあるのではないかと思います。
やることをやらないで責任だけは逃れたい、それでは世の中通用しません。
今のご時世特にそうではないでしょうか?

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気まぐれ社労士 

Author:気まぐれ社労士 
企業では安全配慮義務や労務管理、人事制度・諸規定など課題はたくさんありますが、今の企業では「疲れ」への対策がすごく重要です。少しでも人事関連で疑問やお困りのことがあればご連絡ください。きっと解決策が見つかります!





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