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民法改正と労働基準法の関係(特に時効の問題)

2017年(平成29年)5月26日、民法改正案(民法の一部を改正する法律案)が参議院で可決、成立しました。どうも施行は2020年頃となっていますが、まだはっきりとしていません。
労働基準法の規定の多くは民法の規定の特別法ですから、当然労働基準法もなんらかの影響を受けることになりますし、労働問題であっても民法の規定に従う場合も多いです。
今回の民法改正は債権の部分にかかるものが主になっていますが、そのなかでも我々が特に影響を受けるのは「消滅時効の期間の起算とその長さの改定」であると思います。

現行民法では、債権の消滅時効の原則的な時効期間を、
「権利を行使することができる時」(客観的起算点)から10年と定め(現行民法166条、167条)、
その上で商行為によって生じた債権については5年間(商法522条)とし、
その他職業別に短期間の時効期間を別途定めています(現行民法170条~174条)。


これが10年が長いとか短いとか、いくつも時効期間があるのはいかがなものか、といった議論は以前からあって、今回の改正でそれらが盛り込まれることになったわけです。

改正民法第166条(債権等の消滅時効)
1 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
 一 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
 二 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前2項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。


つまり、改正法では、権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、
または、権利を行使することができる時から10年間行使しないときのいずれか早く到達するときに時効によって消滅すると改められることになりました。
これに伴い、現行民法170条以下で定められていた取引別に定められていた短期消滅時効、商法522条に定められていた商事消滅時効が廃止されることとなり、消滅時効制度の時効期間と起算点の原則的な考え方が統一されることになりました。
つまり民法改正に合わせて商法も一部改正となったわけです。

しかし、労働基準法では賃金債権の消滅時効を2年と定めているなど、特別法らしく、個別の消滅時効規定が定められています。
商法の商事債権の消滅時効は民法改正に合わせて改定されましたが、労働関連法令に関しては触れられていませんでした。
しかし、昨今の労働者保護の観点や、労働債権だけを特別扱いすることへの疑問もあって、

どうやら2020年の労働基準法改正項目の1つとして盛り込まれる公算が高くなってきました。

影響をうけそうなものをざっと上げてみると、
労働基準法第115条関連で、

①賃金請求権
昨今では未払い賃金の請求でよく扱われる項目です。そもそも賃金債権とはいっても月給や日給といった短い期間で支払われる給与の場合は民法の短期消滅時効の1年が適用されるべきものですが、それを「特別法」として2年に延長していたわけです。
その大元の規定が1年から5年に改訂されたのですから、あえてこの規定を労基法に置いておく必要はなくなることになります。
労基法改正の場合は労基法115条がなくなるのか、もしくは5年という期間を明示するのかは不明です。

②退職手当請求権
これも賃金請求権と同じ考え方ですが、もともと労基法115条では5年が明記されていますので、規定の文言はともかくとして実務的にはあまり影響はないと思われます。

③災害補償請求権
災害補償請求権も2年と規定されているのでこれも5年に延長されるべきなのでしょうが、現行の労災保険法では障害(補償)給付、遺族(補償)給付は5年間と定められています(労災保険法第42条 公務災害法も同じ)。となると労災保険法も改正になるのでしょうか。

その他考えられるのは、

④年次有給休暇
現行では労基法第39条の有給休暇の規定は同115条の適用を受けるとされています(昭2212.15基発501号及び国際協力事業団事件・東京地判平9.12.1)。115条の適用を受けるのであれば、この年次有給休暇規定も影響を受けるはずです。となると有給休暇は5年間残ることになり、消化しないと結構な日数が積みあがってしまいます。企業にとってかなり大きな債務となり財務インパクトがすごいことになると予想されます。

⑤会社への債権
帰郷旅費(労基法第15条3項、第64条)、金品の返還(同法第23条)、休業手当(同法第26条)等の請求権も115条の適用を受けると考えられていますので、115条が改定になれば当然これらの請求権も影響を受けることになります。

うーん、ここまで書いて考えました。
やっぱ115条を削除してしまうのはまずいかも・・

⑥解雇予告手当請求権
そもそも解雇横手当を請求する権利はあるのか、という疑問もわきます。解雇予告手当は解雇30日前通達の融通性と考えられているわけで、解雇予告手当を支払わなければ解雇日が30日ずれるだけで、賃金未払いの問題ではないのかなと私は考えます。
ただこの解雇予告手当が労働者の利益になると考えれば、労働者側に請求権が生じるでしょうし、解雇日が伸びることが労働者の利益にならないことも考えられます。また、一度会社側が「解雇予告手当を支払います」と言っていて支払わないのであれば債務不履行の問題になります。
どちらにしても現行では115条の影響を受けて2年の消滅時効が存在すると考える方がわかりやすいのかもしれません。
ただ、労働基準法の強制法規としての面から、労働基準法違反による公訴、と考えると公訴時効の3年というのもありかもしれません。
どちらにしろ、この請求権も5年になることは可能性高そうです。

⑦付加金
労基法114条の付加金の規定には労働者の請求により裁判所が事業主に付加金の支払いを命ずることができるとあります。ただしここでこの請求は2年以内に行わなければならないとあるのですが・・この2年というのは排斥期間であって消滅時効期間ではありませんので、この規定の「2年」は今回の民法改正の影響をただちに受けるものではないといえます(「排斥期間」は時効のように停止措置や援用が出来ません)。
ただ、裁判所の判決が確定しているのに支払わない場合は別の不履行問題になります。

⑧退職時証明
労基法22条の退職時の証明請求権も、請求権の時効は退職時から2年とされています(平11.3.31基発169)ので影響を受けます。

⑨物品の返還
労働者の所有物品の返還請求権は、民法の規定によりので民法改正の影響を受けることになります。

あと気になるのが安全配慮義務違反による債務不履行および不法行為の問題です。
ざっくりいうと、現行では債務不履行が10年、不法行為が20年となっていますが、
改正法では、

不法行為
 原則、損害及び加害者を知った時から3年、または不法行為のときから20年(変更なし)
  + 生命・身体の侵害の特例 損害及び加害者を知った時から5年、または不法行為のときから20年

債務不履行
 原則 権利の行使ができると知った時から5年、または権利を行使できるときから10年
  + 生命・身体の侵害の特例 権利の行使ができると知った時から5年、または権利を行使できるときから20年

となります。
安全配慮義務違反で損害賠償を請求するときに「不法行為」でも「債務不履行」でも消滅時効の期間は同一となることになります。

とにかく民法改正の影響は予想以上に労働法に影響を与えそうです。
今後の改正の動きが見逃せません。

うーん、久々で長いのを書くと疲れます。
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電通問題を改めて考える

電通の問題はまだまだ続きそうです。
先日も労働基準法違反で送検されたものが裁判所(東京簡易裁判所)で普通裁判で扱われることが話題になりました。
これはすごく異例のことで、検察庁(検事)が、略式手続で起訴したものをそれを受けた裁判所が、
「いやいや、この問題は色々と重要な問題を含んでいるので、事実を明らかにするためにも通常裁判を行うべきです」
と言ったという事です。
略式手続であれば、公判を開くことなく、罰金刑を言い渡して終わり、となってしまいます。
本来むちゃくちゃ忙しい裁判所としては略式手続の方が面倒くさい手続きなしに処理を行えるため好ましい(?)はずです。
それなのに、その裁判所が検察の略式手続を否定して正式裁判を行うと決定したわけです。
ちなみに「略式手続」というのは、簡易裁判所が扱う事件のうち、100万円以下の罰金又は科料の事件で、略式手続によることについて被疑者に異議がない場合(普通は略式手続承諾書といったものを取るようです)に取られる手続きです。
ただ、この場合被疑者も事実同意しているわけで、実際に裁判を行ったとしても判決としてはそんなに差があるものではありません。
それでも、裁判所としても電通での自殺事件が「再犯」であること、労基法違反の「常連」であること、実際に自殺にまで進展するプロセスを明確にしなければ同じことが繰り返される、長時間労働への社会的な関心の高まり、等々のことを考慮して、

「これ(略式手続)をすることが相当でないものであると思料するとき」

と判断したものと考えられます。
とにかく過去の事例を見ても今回の「(略式手続)不相当」の決定はかなり異例の判断といえます。
で、電通としては、この決定を真摯に受け取り、社長の公判出廷もありうる、としています。

電通は長時間労働対策として種々の対策を打ち出しています。
7月27日には長時間労働の是正に向けた『労働環境改革基本計画』を発表しています。
簡単にその内容を書いてみますと、
目標として、「2014年度に年2252時間あった1人当たり総労働時間を、2019年度に2割削減」を上げており、
そのために、
・午後10時~翌午前5時までの深夜業務を原則禁止
・正社員や契約・派遣社員を計274人緊急増員する
・正社員採用を17年度の1.5倍にあたる年250人に増やす
・ロボットによる業務自動化(RPA)を進める
・サテライトオフィスを全国18か所で導入予定・在宅勤務を導入予定
・週休3日制への移行検討

などの対策を行うとしています。
しかし、ここで思うのは、

本当にできるの?

という至極自然な疑問です。
深夜残業をなくすのは当たり前で、そもそもそんなことを計画に挙げるのも、挙げないと誰も動かない、という現実を表しています。
社員や契約・派遣社員を「緊急」増員しても、その人たちが「戦力」となるのには時間がかかるし、そもそもたった274人で足りるの?という疑問が起こります。
新卒採用を増やすのも同じ。その人たちが戦力になるには時間がかかりますし、育成にかかる現状社員の仕事量が増えてしまうことへの対処がありません。
ロボットを導入するのも結構ですが、今の技術ではまだまだ「仕事」ができるというレベルではありませんし、そのプログラムやファームウェアの管理は誰がするのかと思ってしまいます。

まぁなんとなーく、やる気を示すために考えられることを列挙していった、としか思えません。
計画するのは結構ですが、その実効性とコストパフォーマンスの計測が本当になされているのかが不明確です。
それに何より、この計画書を作るのに人事労務担当が相当残業したのだろう(サービス残業かも)と推測されます。
完全に本末転倒ですね。

じゃ、どうすればいいのか、ということですが、
電通として本気を見せる対応を行う、ということが非常に大事だと思います。
労働環境を守るために売上が20パーセント減少するのもやむなし
とか、
営業利益ゼロもやむなし(言い過ぎ?)
とかいったインパクトある政策を打ち出す必要があります。

電通としてはできることをやっている、と考えているのでしょうが、売上を確保しながら、とか、利益はこれまでと同じ(いやそれ以上)を確保しながら、なんて甘いことを言っている限りは社会の評価は変わらない、ということです。

とにかく世間があっというほどのインパクトある政策を打ち出してこそ、ブラック企業からの脱却が図られるのではないかと考えます。
電通ほどの基礎体力をもった企業ならできないはずはありません。要はやる気の問題化と思います。
とはいっても電通の経営者も雇われ人です。
株主への責任も負っています。
電通の経営層だけでなく、株主の一人ひとりが、そして電通の社員一人ひとりが「人の死」が引き起こされたという事実をもっとしっかりと受け止めなければいけないと考えます。

人が死んでるんです。
人が死ぬってとんでもないことなんです。
あなたの大事な人が死んだらどう思いますか?


電通の関係者だけではありません。
つい昨日も研修医が長時間労働で自殺した件が労災認定されていたことが公表されました。
「仕事」で「人が死ぬ」なんて、どう考えてもおかしいです。
「仕事」する人すべてが、そのことにこだわってほしいと思います。


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連合と高プロの容認の問題

完全にブログさぼっていました。
一度さぼりだすとなかなか再始動しないものだということを改めて考えさせられました。
人材育成とかいろいろと勉強している身にとっては「我が身を顧みよ」です。
で、今後は最低3日に1度の割合でブログを更新していこうと決めました。
まぁ、どこまでやれるのかなぁ・・(すでに弱気・・)

で、久々のネタとして何を書こうかなぁなんて考えてました。
ネタはいろいろあります。
安倍内閣のこと。
働き方改革のこと。
過労死問題のこと。
等々。

今回は少し前の話になるのですが、「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の創設や裁量労働制の拡大が盛り込まれた労働基準法改正案の修正に関する「政労使合意」について書いてみたいと思います。
「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」っていうのは「特定の専門職で、一定以上の年収(1075万円を想定)のある人について労働時間の規制を外す制度」ですね。
一般には残業ゼロ法案とか言われて労働者サイドの猛反発をくらっています。よく新聞でも騒がれていたので皆さんよくご存じかとおもいます。
この「高プロ」は以前安倍首相が「ホワイトカラーエグゼンプション」という名前で法案化しようとして挫折した制度の再起版ですね。
だから中身はよく似ているので「高プロ」を「ホワイトカラーエグゼンプション」と呼んでいる人も多いようですが「ホワイトカラー」ではなく「高度なプロフェッショナル」が対象だと文言を変えてきているのに注意ですね。
まさにこれまで3回も廃案にされた「共謀罪」を「組織的犯罪処罰法改正案」(「テロ等準備罪」)と名前を変えて押し通した手法と同じですね。

で、私が問題だな、と考えるのは、法案そのものではなく、「連合」が「労働者の代表」として「政労使合意」を結ぼうとしたことです。
もともと「高プロ」は残業代を支払わない状況を生み出すという点においてこれまでの労使慣例を根本から揺さぶるものであったわけです。
だからこそ「連合」も法案への反対を表明して徹底抗戦の構えだったわけです。
ところが、それが突然(まさに突然です)、修正案を受け入れるなら「高プロ」を容認する、という態度に変じました。
かつては労組に身を置いた私として考えるに、

「加掛問題でだいぶ力が落ちたとはいえ今の安倍内閣の力は強い」
「安保法制や共謀罪を見ても安倍内閣は『数の力』で『高プロ』も押し切ってくるかもしれない」
「そうなったら『高プロ』はいくら労働者が反対しても成立してしまう」
「だったら安倍内閣が力を落としている今のうちに少しでも労働者の有利になるように修正を受け入れさせよう」
「そうだ、そうだ、今がチャンスだ。どうせいつかは導入されるのならここで労働者有利の修正を承知させよう。これが労働者にとって一番だ」
「いつまでも反対反対って言っていても何も進展しない、ここは泣いて馬謖を斬ることも必要だ」
「多少は譲歩しておいて経済界や政界に恩を売っておくのも悪くないぞ。ここんとこマイナスの話ばかりの安倍首相にとって、この法案成立は大きなポイントになる」
「そうだそうだ、それに、どうせ『高プロ』に該当する人って組合に加入できない管理職とかが多いしね。そんな奴らのこと知らねーし」

なんて論理が働いたのでは・・・。あくまでも私の勝手な想像ですけれど・・

まぁ、そんな想像の世界はわきにおいておいても、私が感じるのが、

いったいいつから「連合」はそんなにえらくなったのでしょう?
いったいいつから「連合」は全労働者の代表になったのでしょう?
いったいいつから「連合」は過労死した人やその遺族の思いを忘れてしまったのでしょうか?


という疑問です。
それに今回のことは連合の執行部が独善的に話を進めてしまったことに問題があります。
傘下の団体の意思を確認することなく執行部が隠密裏にことを進めてしまった。そして「決着」ありきで事後に下部組織の了解を取ればいい、というとんでもなく甘い見通しで動いてしまっています。
執行部のメンバーはなぜみんなが「高プロ反対」や「みなし制度の拡大反対」を謳っていたのかという原点を見失っていたように思えます。
数人の執行部が何千万人といる労働者の今度のいく末に大きくかかわってくる法案の是非を決定していいのか、ということでもあります。
神津里季生会長をはじめとする執行部(特に逢見直人事務局長)が「水面下」で交渉を行っていたということは、7月13日に神津里季生会長が安倍首相に、「労基法改正案に関する要望書」を提出したという事実がそろれを裏付けています。
事前の協議なしでこのような要望書を提出するはずもありません。しかも、それを傘下の各労働組合の責任者たちもまったく知らされていなかったようです。
まさに執行部の不手際であって、「重大な裏切り行為」と糾弾されても仕方ない話です。
この「強引さ」は安倍首相の十八番であって、これに乗っかって押し通せばなんとかなる、とでも考えていたのでしょうか?
実に不思議な感覚です。
こういった執行部の動きは労働者サイドから激しい突き上げを受けます。また、過労死遺族の会などからも激しい非難が飛ぶことになります。
そんな中で行われた7月21日の中央執行委員会では当然のごとく執行部への非難が集中し、委員会が紛糾してしまいました。
さらに、後日再度行われた委員会でももめてしまい、とうとう執行部は「高プロ容認」から「高プロ反対」に方針変更しなければならない状態に追いやられてしまいました。
これにより当初予定されていた「政労使合意」は不可能となりました。

神津里季生会長や逢見直人事務局長も決して政府におもねって、労働者の権利をないがしろにしようなんて考えていたとは思いません。
おそらく彼らの立場では「条件付き高プロ容認」はベストの選択だったのではないか、と思います。
政治というものの間近にいる人間でなければわからない「諸事情」もあったのでだろうと思います。
しかし、それはそうとして、あまりにそのプロセスの進め方の稚拙さには驚かされます。
自分たちが労働者全体の代表であると、と本当に思っていたのかどうかはわかりません。しかし、労働者の個々の思いを完全に無視して、自分たちの都合だけで話を勧めようと、それもごり押しに近い形で推し進めようとしたことがあまりにも問題です。
あまりに幼稚というかなんというか・・・
もう少し自分の周りを見回すということすらしなかったのでしょうか・・

今回のことで「連合」は大きな傷を負いました。
一度決めたことを「簡単に」撤回するような者をだれが信用するでしょうか経済界も政界ももう「連合」の言うことなど信用しないでしょうし、議論にも乗ってこなくなるでしょう。
「連合」は何と言っても「最大の労働者組織」です。そんな最大労働者組織が経済界と政界から信用を無くしてしぃまいました。
これで本当に労働者のための政策が実行できるのでしょうか?
そして下部団体からの信用も失った執行部の責任はあまりに大きいと言わざるを得ません。


それにしても連合のトップに上がろうかという優秀な人たちがどうしてこんなお粗末な対応をしたのかが本当に不思議です。
今後は連合の執行部も本当に労働者のためになることはなにかという事を主題に考えていただき、本当に労働者の代表として誰からも認められる存在になってもらいたいと考えます。

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有期雇用契約の無期転換対応について

昨日ある弁護士先生(なぜか私は弁護士を「弁護士先生」呼んでしまいます。以前勤めていた会社で上司がずっとそんな風に呼んでいたのがうつってしまいました。笑)主催のセミナーに参加してきました。
そこでのお題が表題の有期雇用から無期雇用への転換実務についての話です。
「何のことだ?」と思われる方もおられるかとおもいますので、私個人のリマインドの意味も含めて簡単に説明しておきます。

平成19年12月5日公布、平成20年3月1日施行の労働契約法という法律があります。
その労働契約法が平成24年8月10日に改正されましたが、そのポイントは以下の3つになります。

1.期間の定めのない労働契約への転換(第18条)
2.有期雇用契約の更新に係る取り決めの明文化。雇止め法理を制定法化(第19条)
3.期間の定めがあることでの不合理な労働条件の禁止(第20条)

 *1と3は平成25年4月1日施行、2は平成24年8月10日施行

で、今回問題となるのは1の「期間の定めのない労働契約への転換」の部分で(他も大事ですよ!)、「期間の定めのある」有期雇用契約で働く人々(「アルバイト」「パート」「派遣社員」「嘱託」「契約社員」など)が、

・同一の使用者に
・通算で5年を超えて
・反復更新された場合
・労働者の申し込みにより
・無期労働契約に転換する


という新しいルールができた、ということです。
ですから、事業主としては遅くとも施行日から5年後の平成30年4月1日までには制度や労務管理上においても対策を打っておかないといけない という話です。

これが「無期雇用契約への転換」と呼ばれるものです。
これがなぜ今頃騒がれるようになったかというと、この「通算で5年」という5年の開始日が平成25年4月1日だからなんですね。
これ以前の期間というのはこの「通算して5年」に入りません。だから5年後の平成30年3月31日までに対策を打っておく必要があるわけです。

ちょっとここでその問題点を考えてみます。
1.同一の使用者に、の意味は?
①「同一の使用者」とは労働契約を締結する法律上の主体が同一であるということ。
・個人事業主、法人単位になるのでグループ企業などで別法人などは「同一」にならないと解釈されます
・M&Aなどで会社がそのまま買われた場合は「吸収」でその法人そのものが存続した場合は「同一」となります。
・「吸収」ではなく「合併」などの場合で会社組織が変わってしまう場合は「非同一」となります。
・事業譲渡などで会社承継法が適用される場合などは「同一」となります(注:これらはケースバイケースになります)。
②無期転換を免れるために「派遣契約」や「請負契約」などに切り替えて偽装した場合はたとえ雇用主が変わっても「法を潜脱」するものとして「同一」となります。もっとも労働者派遣法第40条の9において直接雇用していた労働者を離職後1年以内に派遣社員として受け入れることは禁止されているますのでこちらで引っかかってきます。

ちなみにM&Aや事業譲渡で元の会社の屋号(商号)をそのまま引き継ぐ場合がありますが、これは商号の続用にかかる免責の登記をしておかないと、その商号にかかる負債や責務までも引き継いでしまいます。その場合は「同一の使用者」にあたる可能性があります。

2.有期雇用労働契約の通算期間が5年を超えていることという意味は?
期間の開始は平成25年4月1日以降であること。
②契約期間が1年であれば5回更新されれば次の更新は無期雇用契約への契約の変更になり、以後更新が発生しません。
③契約期間が長い場合、仮に3年とした場合、2回目の期間途中で5年を迎える事になりますが、無期転換への申し込みは2回目の期間のいつでも可能であるので2回目の更新、すなわち3年が経過した時点で更新されていれば5年を超えていなくても「申し込み」は可能となります。ただし、実際の無期雇用契約となるのはその期間満了日の翌日からです。
④「通算」というのは「連続」している必要はありません。間に雇用されていない期間があってもそれが6ヶ月未満であれば働いた期間が通算されます(1年未満の契約の場合はその2分の1の期間)。すなわち、同一の使用者に雇用されている間に6か月以上の空白期間があれば、それ以前の期間は通算できないことになります(クーリング期間の問題)。

仮に3年契約の人が2回目の更新期間中に無期転換の申し込みをしたとした場合。その時点ではまだ有期雇用契約の期間中ですので、当然にそれが無期に転換されるわけではありません。
無期雇用契約に転換されるのはその有期雇用契約の期間が満了して新たな雇用契約が始まる場合に、それが無期でなければいけない、ということです。
では、有期雇用契約の期間中に申し込みをしたら法律上はいったいどういう効果が起こっているのでしょうか。
労働者が無期転換の申し込みを行った時点で有期雇用契約と無期雇用契約の2つの契約が重複して生じている、と考えられます。
その時点で進行しているのは有期雇用契約ですが、将来は無期雇用契約になる、ということです。そのため、有期雇用契約を解除することは大変困難ですし、仮に有期雇用契約が終了しても雇止め法理と、無期雇用契約にもとづく解雇権濫用法理という二重の保護がその労働者にかけられることになります。それだけに雇う側としてはそのあたりもしっかり意識しておかないといけないということです。


ただ、この期間の問題は他にもいろいろな課題を抱えています。複数のパートを持っている人はどうなるの、とか、途中で別の会社にやとわれたけど1か月くらいで戻ってきた場合は?等々
こういった課題に関しては今後もポチポチと考察していきたいと思います。

3.反復更新の意味は?
1回以上と解されますので、例えば6年契約を結んでしまうと、その期間内に無期転換の申し込み権が発生してしまうことになる。

4.労働者の申し込みとは?

①「無期雇用契約転換の申し込み」は労働者から行われなければならない。当然に発生するものではない(形成権)。
②使用者にはその申し込みを拒否することはできない。申し込みがあった時点で「承諾」があったものとみなされる。
③使用者は労働者にその申し込みの権利を放棄させることはできません(雇用契約書に申し立てしない、といった表現をいれるなど)。
なお、この権利を放棄させることは民法90条でいう公序良俗違反となり無効となります

5.無期雇用契約に転換する
2でも書いている通り、否応なく無期雇用契約が成立します。それに付随して以下の問題が生じます。
①労働条件は「別段の定め」(労働協約、就業規則、労働契約など)がない限り直前の労働契約と同じになります。
②ただ、無期雇用契約者に対応する就業規則などがない場合はまったく適用される規則がないということで労基法第89条の就業規則に関する定めに違反したりする可能性もありますし、規定によっては正社員の就業規則が適用されてしまう場合もあります。
就業規則での手当は必須といえます。

まぁこれ以外にも本当にいろんな課題があるのです文字色が、あまりに長くなってしまいますので、この程度に収めたいと思います。

ただこれだけは言えるのですが、

無期転換対応は待ったなし!
少なくとも就業規則の見直しは必須!

ということです。

労災補償保険と事業主とのかかわり その2

労災補償保険と事業主とのかかわりのその2です。
その1からちょっと(?)間空いてしまいました(^^ゞ

言い訳はさておいてさっさと本文に入りましょう。
前回では労災補償保険と事業主とのかかわりに関して、

労災保険料を全額払っているのは事業主であるのに労災認定のプロセスに事業主は直接関与することができない。

という話を書きました。
たしかに労災事故の事業主証明に事業主の意見書を付けることはできるけれども、それが労災認定にどれだけ影響力を持つかというとかなり疑問です。
これは被災労働者が労災による補償を請求することは労災保険法上の労働者の権利であって、労働者が自分の権利を行使することを事業主があーだ、こーだと口をはさむのはおかしいし、これを許してしまうと労災隠しにつながってしまいかねない、という考え方が根底にあります。
それに労災給付が給付されることで、その範囲で事業主は労災事故に関する責任が免責されるわけですから事業主にもメリットはある、とも言えます。

しかし、最近の(特にメンタル不調に関して)労災申請に関しては、その労災認定がなされることで、事業主の安全配慮義務違反による損害賠償請求がほぼ認められたも同じになり、

   労災認定 = 事業主の安全配慮義務違反(労災民事責任)の認定 = 損害賠償(高額化しています)

ということになってしまいますので、労災認定というものが事業主にとって相当大きなコストインパクトを持つものになってきている、ということは間違いありません。
しかし、前回の記事で紹介したように事業主はこの認定プロセスに関わることはできません。
なんとなーく納得感がないように感じている事業主さんも多いと思います。

では、この認定プロセスに事業主が関われないことに対して司法はどういう判断をしているのでしょうか?
実はこれまで、こういった労災行政手続きに事業主が関与するということはほとんど議論もされてきていません。
しかし、ちょっと違った角度で労災行政手続きと事業主の関与が議論されることになりました。
それは、労災給付申請が認められないとする決定に対する不服申請が行政訴訟まで発展したことにより始めて司法の考え方が示されたことです。

労災保険法上、請求した労働者が労災申請に関する不支給の決定に関する不服がある場合は、

労働保険審査官への審査請求 → 労働保険審査会への審査請求

という2段階の審査請求を経て初めて、処分を決定した労働基準監督署長を被告として裁判を起こすことができます(労災行訴)。
通常裁判ではその利害関係者が協力して裁判にあたるのが普通です。
労災行訴の場合その処分を決定した労働基準監督署長を被告として決定を受けた労働者(もしくは遺族)が原告となってその決定の取り消しを求める裁判が行われます。すると、行政手続きある不服審査請求のプロセスでは関与を認められなかった事業主も利害関係人として何らかの形で裁判に関わることができるのではないか、という議論が起こります。
これまで書いてきたように、労災に認定されることで事業主は民事上の責任を負うリスクがかなり高まりますし、労災給付への上積みなどの事実上の労災支出が行われます。
であれば、事業主も利害関係人となって裁判に関わることができるのではないか、という考えもあながち無理な考えではないと思えます。

実際には事業主が被告たる労働基準監督署長と同列になるということはあり得ませんが、当該署長の補助者としての参加を認めるべきではないか、という議論が起こっていました。

そしてその議論に決着をつけたといえるのがレンゴー事件(最一小判決 平成13年2月22日)です。
ここで事件の詳細を書くのは避けますが、判決文は公開されているので興味がある方は検索してみてください。

この判決において最高裁は「一定の要件」があるならば事業主も補助者として訴訟に参加できる、としています。
これは裁判の結果が何らかの利害が及ぶことが明らかな場合はその裁判に参加することができるという近代裁判法の法理に従ったものかと思われます。
民事裁判ではその原告適格とかで、そもそもその裁判に関わることが妥当なのかどうかを争っているのをよく見ますが、それと似た感じかな、とも思えます(厳密にいえば違うのかもしれませんが・・)
とにかく、このレンゴー事件の判決において最高裁が示した判断とは、

1.労災認定とその後の民事上の賠償責任は別の話だから労災認定の可否を争っている時点ではこれは関係ない話だから、労災認定が労災民事責任を導く要因になるろいうことを「利害関係」の要因にはできない。
2.その事業所がメリット制適の用事業所ある場合は労災と認定されることで労災保険料が上がってしまう。この点は明確な不利益であるので、この点においては利害関係が認められる

としています。
すなわち先ほどの「一定の要件」とは「メリット制の適用を受ける規模の事業所」であることということになります。
労働保険徴収法のメリット制とは思い切り簡単な言い方をすれば、労災が多く起こる事業所の労災保険料を高くし、逆に労災が少ない事業所は保険料を安くするという制度です。
ですから、このメリット制が適用される事業所では労災に認定されるかどうかが、労災保険料の変動につながってくるわけです
ですから、最高裁はこの点においては利害を認めるが、労災認定されたから民事上の損害賠償を請求されるなんてことまでは利害とは認めない、といっているわけです。

まぁ、こういわれてしまえばしかたないのかなぁ、なんて思ったりもしますが、メリット制を受けるためにはそれなりの事業規模が必要なわけで、それに該当しない事業所、特に中小企業などは労災行訴には参加できない、というのはちょっとどうなのかなぁなんて考えたりもします。

結局事業主としては多少コストをかけてでも自社の安全衛生管理を徹底させて労災が起こらないようにすることが一番安上りであるということになりますし、貴重な資源である「人材」を確保する上でも必須事項であるということです。
なによりも誰も幸せにならない労災が起こらないことが一番の幸せなのではないでしょうか。
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