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時代感じる?

最近若い人たちと話をする機会にめぐまれています。
特に若い技術者と話をするのは昔の自分を重ねあわせて自分もリフレッシュできる感じで楽しいです。
しかし、30も年が離れると、彼らの間に時代の差を感じることしきりです。
先日も・・・

「岡本さん、先日紹介してもらった『HARD THINGS』っていう本読みました。すごく面白かったです。CEOといった企業経営者がどういう考え方で企業を運営しているか、していかなければいけないかがすごく生々しく伝わってきました。」
「そう、それはよかった。あれはネットスケープ社をはじめとした多くの会社でCEOを務めたベン・ホロウィッツ氏の実体験をもとにか書かれているから、経営者たるものどういう意識でいなければいけないか、よくわかるしね。」
「そうですね、シリコンバレーの歴史そのものみたいな感じで、とても面白くていい本だと思いました。でも・・・」
「でも?」

「ネットスケープって何ですか?」


そうか!そうなんだ!彼らは「ネットスケープ」を知らない世代なんだ!
改めて世代の差を思い知らされました。
「ネットスケープ」は私の世代では「Mosaic」と呼ばれる世界初のブラウザソフトの進化形です。
まだ日本ではWindows3.1Aあたりが全盛で、まだまだインターネットそのものの認知が低かった時代の唯一といっていい「まとまな」ブラウザソフトです。
今でこそブラウザソフトなんてタダが当たり前でしたが、マイクロソフトがWndows95のBバージョンあたりからインタネットエクスプローラーを「無償で」バンドルするようになるまで、インターネットに接続するためにはネットスケープをお金を出して買わないといけない時代でした(けっこう高かったと記憶してます。「Mosaicは無償でしたが使いづらかったです。)。
ネットスケープ社もしばらくは有償のスタイルを崩していませんでしたが、インターネットエクスプローラーがバージョンが上がるたびについには無償に切り替えざるを得ませんでした。
今でもネットスケープの名前は残っているようですが、ベースはまったく違ったものになってしまっているようです。

少なくとも日本でWindows3.1の入ったパソコンを買うと、必ずと言っていいほどネットスケープのアイコンがデスクトップに張り付いていた記憶がありますし、ユーザーもけっこう多かったと思います。
どちらにしてもインターネットの初期のころを知っている人には忘れられない名前だと思います。

それを知らない・・・

うーん、時代ですねぇ・・・

そう思っていたら別の人と話をしていて、
「CP/M??なんです?それ。」
思わず力が抜けました。
Digital Reserch 社が開発したDOSシステム・・これを知らない・・・
「じゃ、ロータス123は?」
「TRONは?」

「ああ、あの映画の・・」
「違う!純日本製のOSで・・・」

「6809は?」
「ザイログZ-80は?」
「PDP-11は?」
「OS Warpは?」
「Pascalは?」
「ALGOLは?」
「アセンブラは?」

「あ、それ知ってます」
ちょっとほっとして・・
「じゃ、B言語は?」
「???? C言語じゃないですよね」

「・・・ううん、ちがうアセンブラとC言語の間みたいなもの・・」

やっぱ、時代は移り変わるもの。忘却の彼方に去っていくもの。といった思いを改めて感じさせられました。
コンピューターの世界だから余計にそうなのかもしれませんが、最近の特に変化の激しい技術の世界で生きていく若い技術者はすごく大変なんだろうなぁと感じさせられる今日この頃です。

ちなみに、ここに書いてる「HARD THINGS」っていう本ですが、私は今の若い人にぜひ読んでほしいと思っています。
機会あればひ皆さんも読んでみてください。




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御社の「人」のお悩み解決します。
人事制度・労使問題・メンタルヘルス・安全衛生対応
社会保険労務士事務所 岡本労務管理事務所

特定社会保険労務士・産業カウンセラー・国家資格キャリアコンサルタント・RSTトレーナー・心理相談員
岡本 寛明

詳しくは下記ホームページで!
HP http://www.mercury.sannet.ne.jp/occam/

過労死等防止対策推進シンポジウム

昨日神戸の県民会館で開催された過労死等防止対策推進シンポジウムに参加してきました。
2年前の過労死等防止対策推進法施行に合わせて厚生労働省主催で「過労死をゼロにし、健康で充実して、働き続けることのできる社会へ」をテーマに過労死等防止啓発月間に日本全国で実施されているものです。
以前からずっと参加したいと思っていましたが、なかなかタイミングが合わず、ようやく今回参加することができました。

karoushisimpo.jpg

会場は13時半からで14時開催だったのですが、13時20分に会場に行ってみるとすでにけっこうな数の方が入場されていました。最終的に立ち見の人すらでる360名の出席者があったそうです。
あちこちでシンポジウムの公法活動が積極的に行われたことが一番の理由かと思いますが、やはり電通事件などの衝撃がここのところ続いてしまっていることで注目も集まったことも理由の一つかと思います。

プログラムは過労死防止全国センター代表幹事の川人弁護士の講演をはじめ、事業主からの取り組み報告、桂福車師匠の過労死を題材にした落語、過労死防止対策推進センターの活動報告、過労死に関する大学での授業を受けた若者の声のビデオ、そして過労死遺族の声、と進んでいきました。
どのプログラムも大変熱いメッセージを感じました。
特に過労死遺族の声に込められた悲痛な思いには激しく心を揺さぶられました。

「息子の命まで会社に捧げたつもりはありません」

活動報告のところで、息子さんを過労死で亡くされた西垣兵庫センター代表理事の必死で声と感情を押し殺した悲痛な叫びには会場の多くの人が熱いものを感じていたと思います。私も思わず涙がこみ上げてきました。

やはりどう考えても仕事で人が死ぬなどとはおかしいです。
死ぬために仕事をしているはずがありません。
死んでまでやらないといけない仕事っていったい何なんでしょう。
亡くなった方も死にたいなんて思っていたはずはありません、しかし、そこに追い込んでしまう仕事って仕事なんでしょうか。


本当にその人が余人をもって代えがたいのであれば、その人が亡くなってしまえばその組織は崩壊するはずです。
しかし、現実ではそんなことは起こっていません。
結局ほかの誰かが引き継いでいるか、その仕事がなくなっているか・・とにかく組織は何事もなかったかの如く継続しています。
そこでは何もなかったかの如く・・


過労死は亡くなったご本人もそこまで追い詰められてしまう悲劇には違いありません。しかし、残された遺族や親しい友人たち(恋人もいたかもしれません)にとっても悲劇です。
そして、近しい人を失った悲しみに重ねて襲ってくる悲劇が、その過労死の原因を作った企業の態度です。
「なぜ自分の大切な人が死んでしまったのか?」
こう考えるのは当たり前ではないでしょうか?
しかし、この素朴で自然な疑問への答えを知ることさえご遺族の方々には大きな障害があります。
事実を隠蔽しようとする企業の態度です。ひどい場合には事実を曲げて改ざんすら行います。
ご遺族はそうした企業と必死で戦いながら「一体何が起こったのか」を明らかにしていかなければいけません。
一個人が大きな企業組織に立ち向かっていかなければいけないのです。
そこには想像できないような大変な苦労があったはずです。
それでも、たとえ一部でも事実が明らかになるのは全体のほんの一部でしかないと聞きます。
相当数の事例では泣き寝入りせざるを得ない状況であるとのことです。
まさに二重の苦しみです。
人をそこまで不幸にする権利が誰にあるのでしょうか?

企業のすべてが、事業主のすべてが過労死の原因を作っているとは思いません。
それどころか、そうならないように必死に努力している企業の方が大多数であろうと思います。
それでも過労死を出してしまう企業が存在するという事実は事実です。
そういった企業も「人は宝」とお題目のように唱えるのではなく、本当に「人を活かす、会社を活かす」にはどうすればいいのかを考えてほしいと思います。
「人を大事にします」本当にお題目にはうんざりです。

お父さんを小学生の時に過労自殺でなくされた方が中学生の時に書かれた作文の中の一文です。
勝手で申し訳ありませんが引用させていただきます。

「僕は、仕事のための命ではなく、命のための仕事であると考えます。命こそ宝です。」

あと、講演の最後で川人弁護士が話された言葉が最後まで耳に残る一日でした。

「一体何人死ねば過労死はなくなるのか?」

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若者へのキャリア形成支援について思うこと

ここのところ社会では若者のキャリア形成に関してすごく関心が高まってきています。
というか、そうしたサポートをしてあげないと若者が路頭に迷う、とでも言いかねない様子です。

確かにこれまでの日本では、しっかり勉強していい大学に入って、いい会社に入って、適齢期に結婚して子供を作って家庭をつくり、定年まで会社で勤務して、それから第二の人生を・・・と言うライフプランが主流であり、これから外れることは社会にとってアウトローであるかの風潮でした。
実はこの風潮は今でも社会の根底でしっかりと生きています。

社会は大きく変わり、家族形態や家族意識の変化、労働の多様化とその価値観の変化、情報の高度化によるあふれんばかりの情報、グローバル化による多様性の複雑化・高度化等々と言った変革の波が絶え間なく押し寄せてきます。
10年前であればあまり問題にならなかった遠い国の小さな出来事が日本に、我々の生活に大きな影響をもたらす、ということが今では普通に起きています。
こういった社会の中に飛び出していく若者のために何とかサポートしていかないといけない、という思いが最近のキャリア形成論にはあるような気がします。
ちゃんとキャリア形成をサポートする体制を作ってあげないと、いい加減な生活を送るようになったり、目標が定まらず会社を転々としたりして非正規雇用になって苦労する、だからそうなる前に、またはそうなってしまった人達の新しい人生設計をサポートしてあげないと社会全体が不安定になる、そういった感じではないでしょうか。
こういった動きは実は先ほどの古いキャリア感が根底にあるからではないかと私は考えます。

私は今の若者へのキャリア形成支援の考え方に反対するものではありません(非正規雇用はまったく次元の違う話だと考えていますが)。
実際に複雑化した社会において未成熟な若者に対して適切なサポートを行うことは社会の義務であると考えます。

しかし、本当に若者のキャリア形成を支援するのであれば、今の社会の考え方を変えていく動きもあってしかるべきではないでしょうか?
今の日本では表面上はキャリアの意識改革だとか、働き方改革だとか、変革を謳うスローガンが踊っています。
しかし、実態はどうでしょう?
いまだに学歴社会は改善されていませんし、学歴偏重は根強く残っています。特に大手になるほどこの傾向は顕著であり「勝ち組」とか「負け組」とか言った言葉がずっと生きています。
しかも、「終身雇用制の崩壊」という言葉がすごく便利に使われていて、リストラ容認論や転職推進論まで起こっています。
すなわち「終身雇用は崩壊したのだから成果を出せない社員は会社を去るべき」という理屈がまかり通っています。
本来であれば「縁あってうち(会社)に来たのだから、何とか成長させてやりたい。そのためには少々時間がかかっても仕方ない」といった考え方があったはずです。
採用した側の「採用責任」も強く意識されていたはずです。
確かに「社員の成長」を強く打ち出す会社は非常に多いですし、各社ともに人材育成に関してはかなり力を入れています。しかし、それは裏を返せば「成長できない人間はいらない」という言葉が隠れています。
しかも、会社に入れば即戦力として大きな期待を背負わせられます。そのせいで若者の疲弊が大きくなっているのは昨今の電通事件(あえて「事件」と呼びます)などを見ればよくわかるかと思います。
そういった企業の要請にこたえるために大学では即戦力になるような教育を行う傾向にあります。
入社試験でも大学のランキングや成績そのものはもとより、「学生生活でどのような成果を上げたか」といったことが優先され始めています。
そして、大学のキャリアセンターも最近はかなり重要視されていますが、結局は学生の就職率アップによるブランド力強化が主目的になってしまっています(少子化の中での大学の生き残り戦略としては当然ではあります)。
キャリアセンターの何が何でも就職させるぞ、という思いを感じています。
大学生活というのはある意味、何をしてすごしても社会は寛容である、非常に貴重な時間です。その時間をどう過ごそうか、それは個人の自由のはずです。それなのに、将来を考えて有意義な学生生活を過ごそう、という言葉がスローガンのように上がってきます。
確かに学生生活をどのように過ごしたかはその人の人生感に大きな影響を与えるのは間違いありません。しかし、だからと言って就職に有利だからとか言った理由で、本当はいきたくもないボランティアだとか、部活だとかにエネルギーを注ぐ、というのも違うような気がします。
私は別に有意義な学生生活を送ることが悪いと言っているのではありません。ただ、それが自分の将来に対して「打算的」な考えでするのであれば、それは本人にとって「しんどい」ことなのではないだろうか、という思いです。

長くなってしまったので、いったんこの話はここで止めますが、最近若い人の面談をする機会が多く、その時に感じたことをちょっと書いてみました。
また機会みて若者へのキャリア形成支援については書いてみたいと思います。

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豊岡市 安国禅寺 ロウダンツツジ

先日久美浜まで小旅行をしてきました。
行きしなに竹田城と安国寺に寄ってきました。
写真は安国寺のロウダンツツジの写真です。
写真撮る人のためにお坊さんが座ってくれます
(^-^;
SHARP AQUOSのコマーシャルで使われて一躍全国区になりました。
平日とかですと人も少ないのでお坊さんが座っているところに座らせてもらってロウダンツツジをバックに写真が撮れるそうでしたが、訪れたのは土曜日でしたのでこのシーンしか取れませんでした。

でも、実に幻想的できれいでした。
また来年ゆっくりと来たいものです。
ぜひ以下の写真クリックして大きくしてみてください。

roudan1.jpg

介護離職について考える

昨日社労士会の介護離職の現状に関する講習に行ってきました。
非常に内容の濃い講習で、2時間足らずの時間があっという間に過ぎてしまいました。
この研修ではいろんなことを改めて考えさせられました。
気づきや再認識も多かったのですが、特に気になったことは・・・

1.90以上生きる人がすごく多くなったのに、ほとんどの人のライフプランが80歳までで終わってしまう。
かつて100歳以上生きる人はまれでした。私の曽祖父は103歳まで生きましたが、100歳の誕生日には市長さんまで来て町中でお祝いをしてくれました(もう、20年近く前のことですが・・)。しかし、今や100歳以上は5万人を超えるらしく、珍しいことではなくなった(?)という話です。そんな長寿国家になった日本なのに、ライフプランニングを作るとほとんどの人が80歳までしか作らない、ということなんだそうです。すなわちかなりの割合の人が80歳以上生きるはずなのに、80を過ぎたら体力も落ち、病気になったりして何もできなくなる、と感じているわけです。
つまり、80歳を過ぎたらその先はない、つまり、もしかしたら寝たきりとか要介護の状態になっているかもしれない、と意識しているわけです。
悲しい話ですね。

2.家族構成や「家族」に対する意識が変わったことで、「介護」への認識も変化している。
この話はいろいろと問題を含んでいます。
・核家族化、少子化による介護を担う人の減少
・未婚者の増加によるシングルによる(特に男)介護の増加
・高齢化の急速な進捗による「被介護者」の増加
・高齢化がもたらす「認知症」の増加により、介護そのものの難度化
等々
特に、結婚しない(できない?)男の増加による母親の介護での虐待例というのがここのところ急激に増えているそうです。
昔の大家族では3世帯同居が当たり前で、特に介護は「嫁」の役割であったものが、その家族観の崩壊により介護の役割は誰の役割などといった一般論が通用しなくなり、誰もが介護の役割を負う可能性があるようになってきています。そして、それを認識していない人も多いことが現在の家族の在り方に大きな影を落としている現実があるということです。

3.介護が避けられないものであるという実感を持っていない人が多い。
これは以下のような事かと。
・特に若い人に多いが、親はいつまでも元気で死なない、と思っている。
まぁ、これは若い人ほど仕方ないですね。実際そういった人の親は元気な人が多いですし。でも、今元気な親でもいずれは老いますし、介護が必要になるかもしれません。そのことを認識しておくのは将来に備えて大切なことです。
・いずれ自分が介護されると思っていない。
これも自分が元気なうちは実感なんてないでしょう。でも、先に述べたように、80歳以上生きる人はいっぱいいるわけです。そうなると自分が介護される身になることは十分考えておく必要があります。
そうなると、誰が自分の介護をしてくれるのか?これはすごく深刻な問題です。こういったことも含めて将来の介護計画を考えておかないといけないでしょう。

4.介護の仕組みや実態を知らない人が多い。
人はどうしても介護というものに目をそらせてしまいがちです。最近はかなり広報も進んできましたし、テレビでも取り上げられることが多くなりました。それでも。どこか他人事な感じがします。
また、経営者も社員の介護の状況の実態把握や介護の知識などが非常に薄い、という状況です。特に男性社員は自分のキャリアを気にして、自分が介護を背負っているいることを公表しない傾向があります。そんな潜在的な状況を認識しておかないと、いきなり介護離職、ということになってあたふたとしたり、適切なアドバイスができなくなったりします。
介護離職は退職した本人にもいい結果をもたらすことはあり得ません。辞められた会社にとっても不幸です。こうしたことを防ぐためにも経営者も社員個人も介護の仕組みを知っておくべきです。

他にもいろいろあるのですが、長くなるのでこのあたりで止めておきます。
ただ、社会保険労務士もこういった人たちの悩みに対処すべく、介護の知識をしっかりと持っておくべきだと、改めて感じさせられました。
介護に直面した者としても今後介護に関する勉強もしっかりとやっていきたいと思います。


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営業手当の話

ここんとこずっと本の話ばかり書いているのでたまには社労士らしいことも書かないと・・・

私は社労士としてはあまり仕事をもってません、というか、今はまだまだ開業したてで仕事がない、というのが本音。
そのおかげで(?)暇な時間を活用していろいろ勉強しているわけですが、そんな私にもたまーに問い合わせがくることがあります。たまたま、ここ数日でまったく異なる筋から3件ばかり同じ質問を受けたのでせっかくならブログのネタにしようと思って書いています。

で、その問い合わせとは、
「営業手当」をどう扱えばいいのか?
という質問です。
日本の多くの企業では規模の大小にかかわらず、営業職の方の給与体系で「営業手当」なるものを導入しているケースが非常に多いです。
特に社外に顧客の多い企業ではほぼ100パーセント導入されているのではないでしょうか?
これだけ一般的な「営業手当」がなぜ今頃見直しの対象になっているかというと、

1.長時間労働や未払い賃金の問題が社会問題化し、時間管理に関して企業の責任が重くなってきている
2.企業のコンプライアンス意識や従業員の自分の給与に対する意識が高まり、支給される給与の各項目の意味が見直されている


といったことがあげられるかと思います。
1についてはここのところの電通の問題もあり、特に企業に安全配慮義務や時間管理への厳しい対応が求められるようになってきているのは皆さんもご理解いただけるのではないでしょうか。
実は「営業手当」というのは導入はされているものの、その定義に関しては2つの流れがあるように考えます。

1.営業活動、特に外勤の営業員の労働時間把握が難しいこと
2.営業活動の交際費や交通費、備品購入費といった営業経費の細かい出費を一括するもの


これら2つのうちのどちらか、もしくは両方の意味を持って導入されていると思います。
1に関しては時間管理が難しいので残業手当も計算しにくい、だから固定残業手当みたいな意味あいで支給する、という考え方ですが、この考えの中には、社外に出てしまっては上司の目も届きにくいので本当に仕事しているかどうかわからない。それに対してすべての拘束時間に金を払うのはイヤだからという思いも含まれています。
実際に売上が好調な時であればまだいいのですが、売上が悪くなると営業職の仕事は熾烈を極めるようになります。売上が低いのに労働時間すべてに金を払うのは難しい、ということもあろうかと思います。ただ、「みなし残業手当」であろうと「固定残業手当」であろうと、時間管理から逃れることができるわけではないことは認識しておくべきです。

2に関しては最近では経理の明確化が進んでいるために、よほど大雑把な経費管理をしているところでなければ、営業経費はすべて領収書添付の自己申告になっているかと思います。それゆえに、この経費一括の意味での営業手当というのは意味が薄れてしまっています。

「営業手当」には「所定内労働時間手当」とするか、「所定外労働時間手当」とするか、という区分けもあります。
「所定内労働時間手当」であれば残業手当などの計算基礎に入ることになることに注意が必要です。先ほどの2でしたらおそらくこちらになると思います。
「所定外労働時間手当」であるのであればさきほどの1になると思いますので「固定残業手当」や「みなし残業手当」ということになり、営業手当に含まれる時間分を明確化しなければいけませんし、その時間を超えた分に関しては残業手当を支払わなければいけません。しかも「みなし」の場合は後述しますが内勤時間と外勤時間の決め方で残業の時間が変わってきたりします。

営業職の時間管理が難しいからこそ固定やみなしといった制度を導入したのにやっぱり時間管理を行わなければいけない、というジレンマに陥ってしまいます。ただ、この意味での導入に関しては「残業代を払いたくない」という意識と「外で何しているかわからない」という不信が基になっている場合も多いので、けっこう金額も低めに抑えられているケースが多く、これに対して多くの営業職の方が不信感や不満感をもっています。
とにかく最近の「労働時間管理」「未払い賃金対策」などの行政の対応を見ていると、「営業手当」に関しては早急に見直しをかけて適正な金額に変更するか、制度そのものを失くしてしまうかんといった対応が必要になるのではないでしょうか?

それなのに、ここを指摘する人事制度コンサルタントが意外と少ないのは私には大変不思議です。

ところで、ついでといっては何ですが、「みなし労働時間制度」に関して少し追記しておきます。
みなし労働時間制度とは、労基法38条の2に規定されている制度で、労働者が労働時間の全部または一部について事業場外での勤務時間を算定しがたいときには、所定労働時間労働したものとみなす、という制度です。
その場合にその業務を遂行するためには所定労働時間を超えて労働することが通常必要になることが予測されるのであれば、その必要な時間労働したものとみなされることになります。その時間に関しては労使協定により定めることになります。
といったものです。
まぁ実際にこれを導入するとなるとけっこううっとうしい問題があって、

1.時間を決めて労使協定を結んで労基署に届けなければいけない
2.事業場外労働時間(みなし労働時間)と事業場内労働時間(内勤時間)を決めたとき、みなし労働時間+実際の内勤時間で労働時間が計算されるので厳密運用するとかえって残業手当が増える危険性がある
3.最近はスマホなどで事業場外であっても時間管理可能ととらえて外勤でもみなし労働時間適用されない、というケースが出てきている。


といった問題があります。特に2は時間計算がかなりめんどくさくなり、場合によっては知らないうちに未払い残業が発生したりしたりします。そのため制度設計や協定を結ぶ時点でしっかりと考えて時間を決める必要があります。

とにかく、営業職の場合、どうしても内勤職と違って時間管理が難しいという理由(ほとんどが言い訳ですが)から営業職の方が実質拘束時間が長くなる傾向にあります。内勤社員の削減から、それまで内勤が行っていた作業も営業がやる、ということもよく起こりがちです。
営業職の場合、その売上高や入金率といった数字での評価が容易なため、数字だけに評価が偏りがちになることも多く、会社への不信や不満を持ちやすい部署でもあります。
とにかく、お互いが話し合って所定内労働時間と所定外労働時間の割合や時間をきっちりと決めて、納得のいく手当を作る、という姿勢を会社は見せなければいけないのではないでしょうか。


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「反応しない」ことのススメ

これもここのところ一気に読んだ本です。
2冊二日で一気読みです。
インド仏教の専門家である、草薙龍瞬(くさなぎりゅうしゅん)氏の「反応しない練習」と「これも修行のうち。」です。
だいぶ前に名越康文氏の「どうせ死ぬのになぜ生きるのか」をこのブログでも紹介しています(http://hrokamo.blog.fc2.com/blog-entry-89.html)が、このあたりからブッダの思想に興味を持ち始めていろいろな書籍をあさるようになりました。
そうしているうちに出会ったのがこの2冊です(「反応しない練習」の方はkindle版です)。

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人の心にはキャパシティがあり、現在のような情報過多の時代ではそれだけで人の心は飽和してしまいますし、そういった情報から巻き起こる感情の動きに振り回されてしまいます。
これで人の心が疲弊しないはずがありません。
ブッダの教えはそういった現代人の心の疲れを癒すのにもってこいです。
ただ、誤解を招いては困るのですが、これらの本は仏教の本ではありません。
もともとブッダは「人が苦しみから解放されるにはどうしたらいいのか」ということを教えて人を救うために活動していました。そこには宗教色というのはほとんどありません。
ブッダの教えは「思想」であり「哲学」です。その「教え」が現代人の心を救い幸福をもたらすメソッドになる、という本です。
ですから、ブッダと聞いて宗教色の強い本では?という懸念はまったく不要です。

ブッダの教えによると「心」のデフォルトは「何も考えない」状態であるそうです。ただ「感じ」「認識する」だけです。
ただそれだけ?と思われrかもしれませんが、「感じる」ことによって自分が客観的な立場に立つことができるようになります。実はそれがすごく大切なことです。
「感じて」いることを「認識」することで「心」がニュートラルな状態に戻ることができ、冷静になることができます。

「心」は外界の刺激により「快」と「不快」を行ったり来たりしますが、その中心である「どちらでもない」状態こそが本来の心の状態です。だから雑念で満たされてしまっている「心」を「何も考えない」ニュートラルな状態に戻してやることで、「心」に隙間やゆとりが生まれ、冷静に物事を判断できるようになります。
この「考えない」状態を作る練習を積むことで、ちょっとしたことに「反応」しなくなり、冷静に物事を受け入れることができるようになります。
もちろんこのような「考えない」状態にするというのは意外と難しいものです。皆さんも1度「何も考えない」状態を続けてみてください。おそらく3分それを続けるのも至難の業であることがわかると思います。それだけ人間の「心」は雑念に支配されているということで、だからこそ「練習」が必要なのです。

実はこの「反応しない練習」というのは今話題になっている「マインドフルネス」と同じものであると私は考えています。
考えたり、評価したりしないで、今自分の感覚(五感)で感じていることをそのまま受け入れ、心をそれで満たす、まさにマインドフルネスです。
マインドフルネスはグーグルが社員研修などでも取り入れていることでも有名ですが(Search Inside Yourself)、アメリカではビジネスマンの間で「瞑想」がすごく評価されていて、有能なビジネスマンや経営者のほとんどが「瞑想」を行っています。この瞑想の一形態として取り上げられてきたのが「マインドフルネス」(厳密にいうと瞑想=マインドフルネスではないと思いますが)です。
「マインドフルネス」に関しては私も以前からかなり真剣に勉強していて、その効果も確信しています。そしてこの「マインドフルネス」こそ「反応しない練習」です。

「マインドフルネス」に関してはいろいろな考えややり方があるのですが(発売されている書物の数だけ、それを読む人の数だけあると私は思います)、この「反応しない練習」はすごく入りやすくて、簡単なので日々実践しやすいものです。「これも修行のうち」を読めばそれがよくわかります。
「マインドフルネス」に関してはまた別の機会に書くつもりなのでここでは詳細は避けますが、この2冊の本がマインドフルネスの入門書としても最適ではないかと考えています。

「反応しない」ということは私が得意とするアドラーの心理学にも通ずるところが多分にあります。特に「自分の領域」と「他人の領域」の切り分けのところなどはほとんど同じ考えかと言ってもいいかもしれません。
心理学は哲学とどこか通じるところもあるので、そういう意味でもブッダの教えとアドラーの考えというのは同じ思想を共有しているのではないでしょうか。

この2冊の本ですが、「反応しない練習」が解説編で「これも修行のうち」が実践編といえるかと思いますので、ぜひこの順番で読んでもらえれば、と思います。
ただ「反応しない練習」は結構中身が濃いので、「そんな時間あるか」なんて人は「これも修行のうち」だけでもいいかもしれません。

実は私には中学生のころあたりから自分へ言い聞かせる言葉として
「何事も経験!」
という言葉を持っています。
どんないやなことや苦しいことがあっても「何事も経験!」と自分に言いきかせれば、不思議と心が落ち着いてきます。
それゆえに、この「これも修行のうち」という言葉には賛同できるところが多いのかもしれません。

先にも書きました通り、この2冊は宗教書ではありません。そして難しい専門書でもありません。非常に平易に書かれていて、私でも一気に読めました。
メンタルヘルスを保つ上でもおすすめの本です。







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第48回社会保険労務士試験合格発表

第48回社会保険労務士試験の合格発表が行われました。
受験者数 39,972人のうち1770名の方が合格されました。
合格された皆さん本当におめでとうございます。
また今回残念だった方々も是非ともこれであきらめることなく来年もチャレンジしてください。


合格率は4.4%ということですので昨年の2.6%に比べれば今回はだいぶ改善されたように思えますが、ここのところの合格率の低さには社労士資格が想像以上に難しい試験であると再認識させられます。
こんな難しい試験に合格されたのですから、そのことを誇りに思って社労士資格を活かすように考えてもらえればな、と考えます。
ときどき「社労士なんて大した資格じゃ・・・」なんておっしゃる方いますが、とんでもないですよ!
もっと誇りを持ちましょう!

とにもかくにも、合格された皆さん、
おめでとうございます!

それにしても登録社労士は全国で4万人しかいないんですね、こちらも少々驚きです。


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社会政策を理解するに最適

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大学の教科書としても使われている「社会政策を学ぶ人のために」という本です。
以前、大阪労働大学で公的年金制度改革についての講義を受けたときに、この本の編者のおひとりである玉井教授からいただいたものです。
いただいたのは良いのですが、なかなか読む機会がなかったのですが(何しろ「教科書」ですので・・)、この度やっと読み始めることができました。
そして、読みだしたならば・・・一気読みです。

もちろんこの本は「社会政策を学ぶ人」のために書かれた本ですので内容はそれなりに専門的で一般にはとっつきにくいかもしれません。

しかし、雇用、社会保障、生活という3つの単元からこれまでの社会政策の経緯と一般には表にでない、それらの根源に関して解説がなされています。
例えば社会保障の年金制度において今の「基礎年金」制度の導入について新聞などで説明されていなかった部分や、その基礎年金の財源がどこからでているのか、とか、あまり普通は深く考えないけれども知っておかないといけないと思うような内容が非常にわかりやすく説明されています。

ちなみに基礎年金の財源は何かというと、1号被保険者の納める保険料、そして税金、と、ここまではけっこう知られているのですが、もう一つ大きな財源が厚生年金や共済年金からの拠出金ということは意外と知られていません。
これは国民健康保険の大きな財源の一つが健保組合からの拠出金で賄われているというのと似ています。

日ごろ我々が接している国の社会政策ですが、その仕組みや手続きを知ることはあっても、そこの奥の理念などを気にすることはあまりないかと思います。
しかし、そういった奥を知ることで自分たちに社会保障や雇用といった生活に密着した政策の在り方を考えるきっかけにもなるかと思います。

私としては社会保険労務士にはぜひとも読んでいいただきたい1冊です。これを読むことで自分の仕事の意味を深く理解できることになりますし、プロである以上、知っておきべき内容かと思います。
ぜひお手元に置いてみてください。




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老いた親を愛せますか?

最近プライベートバタついて落ち着かない日々なのですが、移動とか時間待ちなどでけっこう手待ち時間があるため、小説やら専門書やら自己啓発書やら、いろいろな本を読み漁りました。というか、本でもよんでおかないと落ち着かない毎日でした。
そんな本から面白いなと感じた何冊かを順次ご紹介したいと思います。

まずは、この「老いた親を愛せますか? それでも介護はやってくる」です。

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著者である岸見 一郎氏は日本のアドラー心理学の第一人者です。
最近、古賀史健氏との共著である「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」ですっかりおなじみになりました。テレビなんかでもお見掛けする機会が増えましたね。
この本は「介護」の本ではありません。
必ずやってくる「親の介護」に向かい合うための心の持ち方をご本人の体験を通じてアドラー心理学流に説いている本です。

介護は親に受けた恩を返すとか、子供の義務であるとか、そんな考え方ではなく、親が「存在」している、そのことに純粋に感謝して向かい合う姿勢が大切です。
介護は非常に厳しい問題です。自分もその状況に直面して初めて実感することができました。
体験しなければ大変であることは理解できても実感はなかなかできないということがよくわかりました。

この本は介護に対してこうあるべきだとか、こうすべきだとかといったことは書いてありません。しかし、介護する対象である自分の親に対してどういう思いで向かい合えばいいのか、というところで非常に参考になります。
そして、「親」の問題だけでなく、将来自分が介護される立場になるという厳然たる事実を受け入れる助けにもなりうかと思います。
心理学の本とは言っても、わりとすっと読んでいけますので、介護の問題で悩んでおられる方にはちょっとした気持ちの切り替えになるのではないでしょうか。




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定年退職後の再雇用、賃下げしていい?

おおっ!という、けっこうインパクトある判決がでました。
それは11月2日の東京高裁判決です。

ことの始まりは、、横浜市の運送会社長澤運輸において、会社を定年退職後に嘱託社員として再雇用されたトラック運転手の男性3人が、再雇用の前後で仕事内容は変わらないのに賃金を3割近く引き下げられたのは違法だとして、差額の支払いなどを求めた、というのが始まりです。
この訴えに対して一審の東京地裁は平成 28 年5月 13 日に「仕事の内容は正社員と同一と認められる。特別な理由もなく、賃金格差があるのは違法だ」として、男性らの訴えをほぼ全面的に認め、正社員と同じ賃金を支払うよう命ずる判決を下していました。
それに対して、会社側が控訴し、その判決が今回の判決です。
高裁判決では会社側の言い分を認め、一審判決を破棄し、会社側逆転勝訴の判決となりました。

判決要旨は簡単にいうと、
1.期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁じた「労働契約法20条」は、定年後の再雇用にも適用えされる
2.再雇用制度で、賃金が減額されることは社会的に許容されている
3.一度契約を消滅させ、退職金を支払っている


まぁ1に関しては問題はないかと思います。
2は本当にそうなのかなぁ・・・と思ったりします。「世間一般がそうだから」と言われても説得力はありませんし、確かに法の世界でも「慣習」が重要視されることもわかりますが、ちょっと、これを判決の根拠に持ってくるのは難しいのでは、と感じます。
3に関しては、確かに「定年退職」によって「雇用契約」は一度完了しています。そのうえでの「雇用」ですから、外面上は確かに「新契約」となっており、その時に雇用条件を変更しても問題ないかのように思えます。
しかし、その実態は雇用形態の変更を伴う継続雇用であり、その契約内容に退職金を受け取っていたり、在職老齢厚生年金がもらえるとか言った話は別次元の問題であり、ここにこれが出てくるのはちょっと違うように思えます。

といったことのようなのですが、私から言えば、今回の問題は、

労務管理の怠慢


が引き起こした結果です。
定年退職した人を再雇用し、安い賃金でこれまでと同じ仕事を任せる、
これはいかんでしょう。
こういったことは実際にはよくある話で、仕事の内容もよくわかっているし、定年とは言ってもまだまだ元気で無理も利くでしょうし、ついつい「便利」に使ってしまう、というのもよくわかります。
しかし、だからといってそう言った事情に甘えてしまっていては労務管理は成り立ちません。
定年時にきちんと話し合ってお互い納得のいく雇用条件を作っておく必要があります。
給料を下げるというのであれば、それに応じた勤務条件を提示しなければいけません。
仕事は同じだけど給料は下がるよ、定年になっちゃたんだから仕方ないよね、っていう理屈は通らないでしょうし、根拠もありません。


そして、もう一つ大事なことは、それを現場においても厳格に運用しなければなりません。
現場では知らない人ではないのでついつい定めた雇用条件を超える働きを期待してしまいます。
これがだんだん度を越していき、いつしか当たり前になってきてしまい、正社員と同じ仕事をさせるようになってしまいます。
労務管理ではこういったことにならないように強く戒めないといけません。

したがって今回の問題は、
1.定年再雇用者に対して適格な条件提示と就労環境の取り決めができていなかった
2.定年再雇用者を低賃金で便利に使う現場の風潮

が根本原因であったかと考えます。

同じ仕事をして同じ報酬をもらう、これは当然のことです。
確かにその成果や行動によって差が出る部分はあるでしょうが、それは「評価」の問題であって「雇用契約」の問題ではありません。
また先日のハマキョウレックス事件判決のように「賃金部分」と「福利厚生部分」を切り離して考えるという考えかたもありだろうとは思います。

今回の事件はあくまでも労務管理の失態であり、その責任は会社が負うべきものと考えます。
定年退職再雇用者の賃金を引き下げる場合はそれなりの覚悟と現場を巻き込んだ対応が必要になるということを認識するべきではないでしょうか。
この事件は原告(労働者)側が上告するであろうと思われます。
最高裁がこれをどのように判断するか注目したいと思います。

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相続時の不動産の名義変更にご注意!

わわわわわわわわわわっ!
気が付いたら思い切り更新してませんでした!
ここんとこ父の49日や相続その他の手続きで振り回されており身辺バタついておりなかなか気持ちの余裕もありませんでした。

今回いろいろあって気が付いたことなのですが、相続が発生して不動産の名義変更とかする段で初めて気が付いてあたふたとすることがあるんですね。というか実はけっこうある話のようです。
いったい何の話かというと、親が住んでいる家で、その家が親の親、すなわち祖父・祖母から相続したといった場合で、今度は自分が相続するとなったときに、法務局で手続きしようとしたら・・・・
なんと名義が祖父・祖母のままだった!ってな場合です。
こんなことあるの?ってことなんですが、これがけっこうあるらしいです。
でも相続税とかの手続きしてるじゃん、と思われるかもしれませんが、税務署は登記のことまで関与しません。
きちんと税金さえ納めてくれればいいわけです。固定資産税もその住所に届くので、そこで宛名の人が死んでても普通に払っていれば問題が表面化することはないわけです。

もちろん、相続に当たっては分割協議書とか作っているべきなのですが、これが意外と作ってなかったりします。特に昔は長男が家を相続するというのが一般的だったので、ほとんどが口頭での話し合いとか、成り行きで、といった感じです。
登記の名義変更もまぁそのうちに、ってことでそのうち忘れ去られたりしています。
周りはそこの相続人が普通に暮らしているのだから名義人もその人たちだろうと考えて深く詮索したりしません。

そうなると、いざ、自分が相続してそれらを売ったりしようとしても名義を変えないと売れないことになります。
さぁ、そうなると大変です。
過去にさかのぼって相続の手続きのやり直しです。というか、過去の相続権を持った人たち全員の同意がなければ名義の変更ができません。
司法書士さんなどではけっこうこれで手間を取られるとこぼす人もいました。
権利人が少なくて、近隣にいればいいのですが、昔の大家族で、しかも日本中に散らばっていたりすると大変です。
また、その本人が亡くなっていたりすると、その亡くなった時期によってはその子供たちが代襲相続権を持っていたりして、そちらを探さなければいけない、となったりします。
そして無事対象者をすべて見つけたとしても皆さんが進んでハンコくれるとは限りません。中には仲の悪い親戚もいたりして素直にハンコくれなかったり、単に警戒して押してくれなかったりします。
そうなると時間をかけて話し合い、場合によってはなにがしかの「ハンコ代」を渡したりしないといけなくなります。
しかもこの「ハンコ代」が他の権利者に伝わったりしたらあまりいい結果を生みません。

まぁ、相続が行われるたびにきちんと「遺産分割協議書」を作って権利者の判をもらい、登記の変更も遅滞なく行っておく、これが後々のトラブルを回避する一番の方法です。

あなたのご両親のご自宅の名義、大丈夫ですか?
一度確認しておくことをお勧めします。


あ、あと似たような話として自治体が管理している墓地の「使用名義人」がずーーーと前に亡くなった人のまま、というのもあるようです。こちらは相続ほどではないのですが、やはりけっこう手続きが面倒です。
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