FC2ブログ

労働時間と働き方改革に思う

最近労働時間の短縮の話と働き方改革の話をあちこちで耳にします。
今知り合いの会社で人事制度改革のお手伝いをしているのですが、そこでもこの話はでます。
その会社はこれまでもそんなに長時間労働が問題になるようなことはなかったのですが、それでもワークライフバランスを会社の戦略目標に入れているということもあって、それを達成するアクションを立てなければいけません。
そこで残業時間がある一定の水準以下に抑えた人には賞与でインセンティブを支払う、という制度設計を行いました。
ただ、実際に導入するにあたっては、その「水準」はいくらに設定するのか、仕事の種類でそれを変えるのか、とか言った課題は山積みです。
現状の仕事から見て達成しやすい人と達成しにくい人にわかれるのは明白でした。
でも、とにかく会社としての取り組みを見せたいという社長の意思を尊重して導入することにしました。
正直なところ、問題が出ればその時修正すればいいや、とにかくやることが大事なんだ、というのが私自身の思いでもありました。

電通事件以降、労働時間の問題は一気に話が動いて行っている感じがします。
政府が取り組んでいる働き方改革を実現していくうえで「長時間労働」というのは何としてでも越えなければならない「壁」だからです。
なんとなく、そのためのスケープゴートにされた感じではありますが、それでもこれまであまり真剣に議論されてこなかった、いや、されてはいても議論と現実が完全に分させられていた状態から考えるとすごい進歩であることは間違いありません。

もともと「長時間労働」の問題は企業側にも大きなデメリットをもたらすことはずっと指摘されてきました。
特に「過労死」や「過労自殺」まで至らなかったとしても、うつ病の発症をはじめとするメンタルヘルスの問題は大きなリスクとして企業サイドでも認識されていたはずです。
行政も同じ認識で、だからこそ安全衛生法の改正は悲願であり、仮に不完全であったとしても「ストレスチェック」を制度化できたことは一つの成果であったと思います。
しかし、その時点でも言われていたことですが、結局は「仕事そのものの見直し」をしない限り何も解決できないことも明白な事実です。

今日本の社会は「少子化」という、もう避けようのない現実に向かっての対応を迫られています。
労働者不足もその一つですし、何より、高齢化対策における社会保障の「担い手」の問題は深刻です。
現実問題として、労働人口は間違いなく減少するわけですから、その労働人口に含まれていない高齢者を、特に65歳以上75歳くらいまでの人たちが元気で働けば、保障対象から保障の担い手に転換できるわけです。
さらには労働人口の年齢層にありながら保障の担い手としての期待の薄い人たちである、非正規雇用者、女性、障害者、介護などで仕事ができない人などが、その労働力を高めることで「担い手」としての役割を期待できることになります。
これらの期待を実現するためには日本社会の「働き方」の概念を変えるしかありません。
このことはこれまでもいろいろな人が主張してきています。
しかし、企業は「働き方」の概念を変えようとしてきませんでした
なぜでしょうか?

理念は理解しても具体的な方法論が論じられてこなかったこと
と、
社会全般の話はいわゆる「一般論」であり、個別の企業が対応するべきという意識が薄い

からに他なりません。
現に電通でも「長時間労働防止対策」と銘打っていろいろな施策を行っていますが、本当にこれで長時間労働が解消されるのか?というと大方の人は疑問に感じています。
なぜなら、時間が短くなっても「仕事は減らない」、からであり、そこには仕事を減らすことへの不安もあるからです。
「仕事が減る」ということは「自分の存在価値が減る」と同義で考えている人が多いからです。
しかも、結局何をやっても「一企業が何をしても結局は無駄」といったあきらめ感も出てきてしまっています。
要はいくら社長が旗を振っても全社的に「何とかしよう」という意識が薄いということです

「長時間労働対策」というのは突き詰めて考えるなら、
・仕事を減らす
・増員する
・生産性を上げる

といったことをやるしかないわけです。
「仕事をへらせない」のであれば、人員を増員するか、一人当たりの生産性を上げるしかありません。
企業は人を増やしたくないので、結局は「生産性の向上」を選択してしまいます。
努めている人も、自分の仕事が減るわけではないので、存在意義が減るという危機感もなくなります。
そのため、労使そろって「生産性向上」に手を上げるわけです。

しかし、「生産性向上」というのは口で言うのは簡単ですが、実現することは大変です。
これまでさんざん「利益率向上」の名前のもとで「生産性向上」が行われてきているはずです。
それをさらに「向上」させないといけなくなります。まさに「向上」の「搾取」にほかなりません。
しかも、一度「向上」させるとその仕事の流れは固定化されてしまい、他の場での「非効率」を生み出す原因になることもあります。

こんな大変な選択をするから「長時間労働問題」は解決しないのです。

「生産性を向上してワークライフバランスを実現する」
こんな美名に惑わされてかえって余計な仕事やプレッシャーが増加してしまっては本末転倒です。


政府の働き方改革では労働時間を年720時間以下に抑えようという方向性で動いているようですが、それを企業側が実現できるための支援も併せて協議していただきたいと思います。

仕事をして人が不幸になる、こんなことがあっていいはずがありません。

=======================================================================
御社の「人」のお悩み解決します。
人事制度・労使問題・メンタルヘルス・安全衛生対応
社会保険労務士事務所 岡本労務管理事務所

特定社会保険労務士・産業カウンセラー・国家資格キャリアコンサルタント・RSTトレーナー・心理相談員
岡本 寛明

詳しくは下記ホームページで!
HP http://www.mercury.sannet.ne.jp/occam/

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

ちょっと前のことになりますが、意外と知らない人も多いようなので一応ネタとして挙げておきます。
厚生労働省では、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を新たに1月20日に策定し、それを公開しています。
お役所の作成するガイドラインていうのは大概が煩雑でけっこうボリュームがあるものなのですが、このガイドラインはA4で4ページとかなりコンパクトです。
労働時間の把握と管理というのは事業主の責任事項であるはずなのですが、現実には労働者が自己 の労働時間を自主的に申告することにより労働時間を把握する自己申告制がけっこうまかり通っています。
しかもそれがうまく適正に活用されておらず、結果としてサービス残業や長時間労働の温床になってしまっているケースが非常に多く見られます。
しかし、実は労働時間の把握というのは事業主としても頭の痛いところなのです。
一体何が労働時間になって、何がならないか。
自己申告に頼らないといけない仕事もあるが、その申告が正しい(もしくは信頼できる)かどうかの判断をどこまでやればいいのか、といったところが難しいところです。
こういった問題を画一的に取り扱うためには何等かの基準になるものがあった方が客観的判断が付きやすくなります。
このガイドラインはそういう意味でも役に立つかもしれません。

で、その内容ですが、実はこのガイドラインの中味は、これまで言われてきたことを改めて文書化しただけといってしまっても緩和ないかと思います。
まぁ、こう言ってしまうと元も子もないのですが、一般的に言われていることをお役所がきちんと文書化したというところに意味があるわけです。
すなわち、何か労働時間で争いが起こったときの判断材料となるエビデンスが用意されたということになります。
行政の発信するガイドラインには強いエビデンス力があるため、何かの判断を行わないといけないときには格好の基準となります。

今回の労働時間のガイドラインには2つの大きなポイントがあります。
それは、
1 参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習などを行っていた時間は労働時間として取り扱うこと
2 やむを得ず自己申告制により労働時間を把握する際、自己申告により把握した労働時間と、客観的なデータから把握した在社時間とが大きくかけ離れている場合には、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正を行うこと

の2点です。
これらも当たり前といえば当たり前のことなのですが、企業では業務上必要な研修であっても、それは「自主的」なものだから時間外だ、などという勝手な解釈もまかり通っていました。それはやはりおかしいということをここで明言した形です。
また、自己申告の労働時間の正確さや信頼性に関して調査し補正するのは事業主の責任であると明記した点も大きいかと思います。
これで労働時間の把握が難しい、という言い訳は許されないことになります
これは事業主にとってはかなり思い責任になります。
あんまり意識していない事業主さんが多いようですが・・・

そもそも、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをであり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たります。そして、「指揮命令下」であるかどうかは客観的に判断すべきであって、事業者や労働者自身の主観によるものではありません。しかし、これらの常識が常識として通用していないというのが現状なのです。

事業主だけでなく、労働者もこのガイドラインがなぜこの時期に出されたのかをぜひ考えてもらいたいと思います。

ガイドラインそのものは下記を参照してください。
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

=======================================================================
御社の「人」のお悩み解決します。
人事制度・労使問題・メンタルヘルス・安全衛生対応
社会保険労務士事務所 岡本労務管理事務所

特定社会保険労務士・産業カウンセラー・国家資格キャリアコンサルタント・RSTトレーナー・心理相談員
岡本 寛明

詳しくは下記ホームページで!
HP http://www.mercury.sannet.ne.jp/occam/


サピエンス全史 面白い!

今回バタついている間にもけっこう本を読みました。
移動や待ち時間がけっこう多く、その間本を読むことで過ごしてきました。
その読んだ本の中から面白かったものを紹介します。

ユヴァル・ノア・ハラリ氏著「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福(上・下)」

これは出先の街の本屋で時間つぶししているときに偶然見つけた本でした。
上下巻で700ページ近い単行本です。
2冊もあって、旅先だし、重いし、高いし(2冊で4000円超えます)どうしようかな?と迷ったのですが、何ページかを立ち読みしたところ上下2冊ともその場で買ってしまいました
完全に衝動買いでした(^-^;

sapiens.jpg


でも、ホテルや移動中や隙間時間などに読んでみるとこれが本当に面白かったです。
どうもビル・ゲイツやザッカーバーグといった著名人がこぞって推薦しているとのことで、世界中で大ベストセラーになっている本だったようですし、日本でもNHKのクローズアップ現代で池上彰さんが著者にインタビューしているところが放映されたとかいう話でした。
でもその時は、私としては全然前知識もなかったですし、あくまでも「立ち読み」した数ページで衝動買いしてしまいました。

まぁ、詳しい内容に関してはアマゾンの書評などを参考にしてくれればいいかと思いますが、いつもはけっこう「端折り読み」する私がかなり真剣に(?)読み込んだ本でした。
特に上巻の
「ホモサピエンスはなぜネアンデルタールなどの他の類人猿との競争に勝ち抜いたのか」
「ホモサピエンスは『妄想』を生み出し、それを信じる能力で発展してきた」
「ホモサピエンスは狩猟から農耕に転じることで植物に『隷属』することになった」

といったあたりは圧巻でした。
これまで考えてもみなかった「サピエンスの歴史」を改めて追いかけることで「ホモサピエンス」とは一体何なのだろうか?
とか、
「ホモサピエンスは進化することで幸せになったのか」
とか、
「ホモサピエンスは今後どうなっていくのか」
とか
いろいろな問題提示がなされていきます。

私もこの本を読んで、

「ホモサピエンスは一体何のために進化してきたのか」
とか、
「ホモサピエンスは進化のアンカーなどではなく、バトンを託された1ランナーではないのか」
とか、
「2045年にシンギュラリティを迎えるAIはホモサピエンスの担い手なのか」
とか、
「そもそもホモサピエンスの幸せとは何なのか」

といった答えを出しようのない哲学的命題を考えるようになりました。

私としては大変いい本と巡り合えた、と素直に喜べる本です。おすすめですね。





kindleお使いの方でしたら合本があります。
値段も安いですし、ポイント還元もあります。何より重くないのがいいです。



=======================================================================
御社の「人」のお悩み解決します。
人事制度・労使問題・メンタルヘルス・安全衛生対応
社会保険労務士事務所 岡本労務管理事務所

特定社会保険労務士・産業カウンセラー・国家資格キャリアコンサルタント・RSTトレーナー・心理相談員
岡本 寛明

詳しくは下記ホームページで!
HP http://www.mercury.sannet.ne.jp/occam/


高齢者世帯に思う

またブログをさぼってました。
とにかく1月から2月にかけて個人的なことがいろいろ立て続けにあってそれらに振り回されていました。
別に私がかかわらなくてもいいような感じの案件もあったのですが、どうも自分以外に動ける人間がいない、とかいった勝手な理由で巻き込まれてしまった感じがします。
内心ムカッとしながらも関わってしまう自分も自分だとは思いますが・・

本当にいろいろあったのですが、一つ考えさせられた件がありました。
私の親戚で(父親の従妹にあたる)年配の老姉妹がいるのですが、二人とも90超えていて二人だけで暮らしていました。
多少は小金も持っていますので生活そのものの不安はまったくなかったようですが、とにかくこの二人が他の親戚とうまくいっていません。
また近所付き合いもほとんどない状態だったようです。
それがある日その付き合いのないはずの住民の方々から「ここ数週間姿が見えない」といった通報が警察にあったらしく、警察もいろいろ調べて私のところに連絡がありました。
最初は警察も対応に困っていたようなのですが、どうも地域包括支援センターから連絡があり、二人そろって施設に移っているとのことでした。

その後警察や支援センターと連絡を取って本人の意思を確認しながら私がいろいろ手続きやらをやっていったわけですが、これがすごく面倒で(親族ではないので制約がいろいろあります)。最終的に二人の意思で弁護士に成年後見人を依頼するということで落ち着きました。
成年後見人の話は水臭い話だなぁとは思ったのですが、その方が本人たちもセンターの人も気兼ねがないということでしたので、少々すっきりしない幕切れではありましたが、手を引くことにしました。
まぁ、これで私は無事にお役御免となったわけですが、地域包括支援センターの担当の方には本当にお世話になりました。
おば(私はこう呼んでます)たちの言ってみれば身勝手な行動で周りを振り回しているわけで、本当に面倒なことを一つ一つ片付けていくセンターの仕事には頭が下がりました。
本当に感謝するとともに、その仕事の大変さと重要性には頭が下がる思いです。

それと、あれだけ無愛想で近所付き合いもないおばたちを心配してくれたご近所の皆さんにも本当に感謝です。
高齢者のみの世帯はどんどん増えていますが、こういった周りの「見守り」の大切さも思い知りました。
自分自身もこれからは心がけをもって生活していきたいと考える次第です。

=======================================================================
御社の「人」のお悩み解決します。
人事制度・労使問題・メンタルヘルス・安全衛生対応
社会保険労務士事務所 岡本労務管理事務所

特定社会保険労務士・産業カウンセラー・国家資格キャリアコンサルタント・RSTトレーナー・心理相談員
岡本 寛明

詳しくは下記ホームページで!
HP http://www.mercury.sannet.ne.jp/occam/
プロフィール

気まぐれ社労士 

Author:気まぐれ社労士 
企業では安全配慮義務や労務管理、人事制度・諸規定など課題はたくさんありますが、今の企業では「疲れ」への対策がすごく重要です。少しでも人事関連で疑問やお困りのことがあればご連絡ください。きっと解決策が見つかります!





最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

かうんたー
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR