FC2ブログ

欠勤と休職の違い、そして有給休暇

たまには社労士らしいことも書きます。

よく休職の話になると、欠勤の話も出てきます。
けっこう多くの会社が休職に入る前に欠勤期間を設けているようです。
でも、何気に使っているこれらの言葉の意味が今一つあいまいな感じがします。
たしかに、就業規則ではおそらく「欠勤」と「休職」はしっかり使い分けられているはずです。
そこで、強いて定義するなら、

欠勤→会社による業務免除がなされていないもの。有給と無給どちらもあるが、病気などの場合は有給になるケースが多く(全額・一部は別として)、それ以外の自己都合では欠勤控除されるのが多いという感じです。また、ボーナスの査定には大きく影響するのが一般的。労働者から見て「休む」。

休職→会社の指示で業務が免除されているもの。健保の傷病手当金を受給するため、無給が一般的だが、違う名称(見舞金など)でお金が出ている場合もある。期間は1年半というのが多い(傷病手当金の支給期間から?)。ボーナス支給からは対象外。労働者から見て「休まされる」。


という感じみたいです。
そして、欠勤を休職開始の要件にしている、というパターンが多いようですが、これも実は不思議です。
先にも書きましたように、欠勤とは会社が業務免除を許可していないのに休んでいるということです。
でも、診断書が出たら会社は休ませるしかないわけです。つまり、その場合、明示的ではないにしろ会社が業務免除を認めていることになります。
なのに欠勤というのはちょっと落ち着かない感じがします。

私としては欠勤を休職に要件にいれるというのは好ましくないと考えています。
その「欠勤」が有給で、まずは給料の心配なく休ませるために欠勤期間を設けている、という場合は全然問題ないと思います。
しかし、仮にそれが無給であったら「休職」と何の差もなくなってしまい、分ける意味がなくなります。
また、「欠勤」という言葉の方が「休職」より、なんとなくネガティブなイメージがあります。
何気なく使っている言葉なんですが、「欠勤」は「自分の都合で勝手に」休んでいるという意味がありますので、無給であれば休職の要件に入れる意味はないように思います。

あと、有給休暇の取得を優先させている企業さんもかなり多いです。
休職に入る前に「有給消化」→「欠勤」→「休職」という流れを就業規則で定めている企業が意外と多いです。
すなわち、有給休暇がなくなったら欠勤、欠勤機関過ぎたら休職、ということなのですが、この「有給休暇なくなったら」というところが労基法に抵触する可能性があります。

労働基準法第39条の5に「使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない」とあります。

つまり、有給休暇をとるのは労働者の権利であって、労働者はよほどのことがない限り、自由に自分の希望する日に有給休暇をとれるわけです。
有給休暇は事業者が指定して取らせるものではないのです。なのに、休職の要件にこれを入れてしまうと、労働者の有給取得の権利を侵害することになります。
また、休職期間は原則有給休暇の権利は発生しませんから、休職期間によっては復職後に有給休暇が1日もないということもありえます。そうなると、体調が悪くて休みたくとも欠勤するしかなくなります。これでは労働者にとって酷な話です。

なお、この条文には続いて事業者の有給休暇時季変更権の記載もあるのですが、これは条件がかなり厳しいですし、もともと休んではもらっては困るから時期を変更してくれよって条文なのに、病気でやすませようというのに仕事しろって言ってるようなもので根本的に趣旨が違います。
よって有給消化を要件にしている企業さんは改めた方がよろしいかと思います。

なお、たぶんお気づきの方もおられるかと思いますが、
「欠勤」「休職」「有給休暇」ときたら、なんで「休業」がないのか?
何故かと言うと・・・
「休業」の定義はさらにあいまいで、その場その場で意味が微妙に変わってくるので、あえて触れませんでした。
正直わかりにくい言葉です。

テーマ:お仕事 - ジャンル:就職・お仕事

コメントの投稿

非公開コメント

No title

> この「有給休暇なくなったら」というところが労基法に抵触する可能性があります。

精神障害を除く傷病の場合、入院が決まった時点で上司や総務に相談することになると思います。
そこで総務部の人が「有給を先に取得する方が、賞与・定期昇給・有給附与日数の点で有利」とアドバイスをするケースがほとんどだと思います。

その結果、欠勤期間を経ることなく、有給休暇を消化し、それでも足りなければ休職という流れになります。

決して、先生が仰る「労働者の有給取得の権利を侵害」には当たらないと思います。

No title

大変貴重なご意見をありがとうございます。
まさに実務に精通していなければご指摘いただけない重要なご指摘かと思います。
志保さんのおっしゃる通り、休職前に有給休暇を使うことで給与や賞与に有利になる場合も多いかと思います。
特に予定される休職期間が有給休暇の残日数に満たない場合などは休職処理せずに有給休暇処理を行なう方が従業員にとってもいいかと思います。
実際にそう言う手続きを取っていたりする企業も多いかと思います。
確かに有給休暇を取った方が制度的にも得だよとアドバイスすることはぜんぜん問題ありません。そのアドバイスに従うかどうかは本人の自由だからです。
しかし、欠勤、休職前にまずは有給休暇を消化しきらないといけない、と就業規則に書いてしまうと問題が生じます。
つまり、有給休暇を消化した上で欠勤もしくは休職に入ると規定してしまうと休職に入る前には必ず有給休暇を消化しきらなくてはならなくなり、そこに本人の自由な意思が入る余地が無くなってしまいます。
有給を消化しないと欠勤も休職もできない、この点が有給休暇の自由取得の原則を侵害する可能性があるという事になります。
もちろん、これは私個人の考えであって最高裁判所の判決が出ているわけではありませんし、別の意見もあるかと思います。保志さんのご指摘通り、労働基準法に抵触する、というのは言い過ぎだ、というご指摘も十分ありかと思います。
しかし、就業規則などで(内規も含みます)有給休暇の使用に関して会社が何らかの制限を設けてしまうような表記は、それだけで大きなリスクになりえます。そういったリスクはできるだけ事前に避けるべきです。それが労務担当の役割と考えるからです。
就業規則は会社にとってもろ刃の剣となりえます。だからこそ外部から余計なツッコミを入れられないような「強い」就業規則を作っておくことが労務に関する訴訟リスクを軽減するための条件です。
実はこの件に関しては私の実体験でもあり、こういった表記の就業規則に対して労働者の権利の侵害である、と労働組合から非常に強い抗議があり、弁護士とも協議した結果制度を改めたという経験があります。

今回保志さんのご指摘を受けて改めてこの問題に関して考える機会を得ました。ブログの私の表記にも稚拙な部分もありました。色々な気づきを与えてくださった志保さんのご指摘に大変感謝いたします。

休職前欠勤期間について

欠勤(無給)が休職と同じで無意味との所ですが、
欠勤は労働義務有、休職は免除であることが抜けているのではないでしょうか。

休職に入ってしまうと、有休請求ができませんので(基発1456)、診断書即休職とすると、逆に従業員が有給休暇を使用することができず、最悪未消化のまま、休職期間満了、退職となってしまいます。

当人の有休消化の意思確認も含め、欠勤期間は設けておくべきではないでしょうか。あるいは欠勤期間が無くてもこの辺りの問題を処理できる規定方法はありますでしょうか。

診断書

診断書の提示があれば業務免除を認めていることになるとのことですが、ここは、

「診断書により該当の欠勤が無断欠勤ではない」証明として受け取るもので、ここでの従業員の選択肢は単に「業務免除のため有休を請求」するかしないかということに過ぎないのではないでしょうか。

No title

>欠勤は労働義務有、休職は免除であることが抜けているのではないでしょうか。
欠勤・休業・休職の定義を私は以下のように判断しています。改めて記載します。

 ・欠勤‥労働義務がある日に勤務を行っていない状態
 ・休業‥会社側より労働義務が免除されている状態
 ・休職‥労働者側の都合で勤務をしないことを命じられている状態

こうしてみる確かに私の表記では誤解を呼ぶ記述かと思います。貴重ご指摘は本当にありがたいです。
おそらく、外見上から見てこう書いたのだと思います。

>当人の有休消化の意思確認も含め、欠勤期間は設けておくべきではないでしょうか。
>あるいは欠勤期間が無くてもこの辺りの問題を処理できる規定方法はありますでしょうか。

「欠勤」を外す、というのはあくまでも私が「欠勤」という言葉にマイナスのイメージを持っていることからこのような記述になったものです。
実務的には「欠勤」を「休職」の前に設けておいた方がいろいろと融通が利くかと思います。
これも本当にありがたいご指摘です。

「診断書」に関しては、これは会社のポリシーの問題になるのかな、と考えます。
「診断書」の効力に関してはご指摘の通りかとは思いますが、実務上「診断書」を出されてしまうと会社としてはそれを無視することはかなり難しくなりますので。本文のような記述にしております。

それにしてもこういうご指摘をいただけるのは本当にありがたいです。

欠勤という言葉の定義について。

社員、パート全員のシフトを作っているものです。
1人のパートさんから休みの申し込みがあったためシフト表には「欠勤」という表記にしていたところ、「欠勤という表記はおかしいと申し出がありました。有給の兼ね合いは関係ありません。
恐らく出勤日当日に休んだ事を「欠勤」という解釈のもと意義を唱えたかと思いますが、私は事前に申し込みがあろうが当日にあろうが欠勤の表記で良いと思っていますが間違いでしょうか?

No title

花さん、コメントありがとうございます。
パートさんのシフト作成というのは私も経験ありますがけっこう大変です。ご苦労お察しします。
そのパートさんはおそらくわたくしと同じで「欠勤」という言葉にマイナスのイメージを持たれているのではないかと推測します。
ただ、実際パートさん、特に週3とか週4といったパートさんのシフトに関する欠勤表記というのは極めて一般的な表記なのではないかな、と私は考えます。
といいますのも、パートシフトというのは「翌月の出勤日を決める」というやり方が普通かと思いますが、出勤日を決めた時点でその日は「労働義務がある日」ということになり、それ以外の日は「労働義務の無い日」となります。
そうは言っても「欠勤」ってなんとなくサボったみたいなイメージがあるので嫌な思いをしているのでしょう。
ただこの辺りはあくまでも「表記の問題」であってその会社ごとの慣習や就業規則の記載によって呼称が代わるということも十分あり得ます。

ところで、「労働義務のある日」に仕事をしなかったわけですから定義上は「欠勤」という表記になります。
パートさんの出勤日に出勤しなかった場合に「欠勤」という扱いをする以上、厳密にいうならば、その代わりに出勤予定でない日に出勤させた場合、その日は「休日出勤」となるはずです。
もし、就業規則に「休日出勤の割増賃金」の規定があるとしたら、その日は割増しをつける必要が生じます。

 ・パート出勤予定日に休んだら「欠勤」扱い。
 ・パート出勤予定日以外の日に出勤したら「休日出勤」として割増し加算。

という規程を作っている会社は私が知る限りでもけっこうあります。
パートシフトが決定したあとでパートさんたちの間で勝手に出勤日を交代したりするこがありますが、こうした場合でもこの考え方が適用されます。
本来であれば、振替休や代休などで対応して割増しが発生しないようにするべきなのですが、規程の不備であったり、運用の面倒くささからそのまま適用しているというのが多いようです。
こういったケースで就業規則に「休日出勤手当」がある場合はパートのシフトチェンジでの休日出勤扱いにならないようにする工夫をしておかないと、休日出勤手当を払わないことが賃金未払いの問題につながってしまいますので、注意が必要です。
プロフィール

気まぐれ社労士 

Author:気まぐれ社労士 
企業では安全配慮義務や労務管理、人事制度・諸規定など課題はたくさんありますが、今の企業では「疲れ」への対策がすごく重要です。少しでも人事関連で疑問やお困りのことがあればご連絡ください。きっと解決策が見つかります!





最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

かうんたー
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR